研究課題/領域番号 |
23760114
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
佐藤 隆太 神戸大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (60376861)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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キーワード | 国際情報交流 |
研究概要 |
数値制御工作機械で加工を行う際,送り駆動系の運動特性が仕上げ加工面に影響を及ぼすことが知られており,工具経路を工夫することで加工面が改善する場合があることも知られている.しかし,送り駆動系の運動特性と加工面との関係は明らかにされていない.本研究の目的は,送り駆動系の運動特性と工具経路とが加工面に及ぼす影響を明らかにすることで,送り駆動系の運動特性をCAMによる工具経路生成に反映させるための手段を提供することにある. 上記の目標を達成するため,平成23年度には,まず実際の数値制御工作機械の送り駆動系をモデル化し,その運動特性をシミュレーションで表現できるようにした.実際の運動軌跡を測定してシミュレーション結果と比較することで,モデルの有効性を検証した.さらに,同時2軸制御運動時における送り駆動系の運動軌跡から,エンドミル外周加工による加工面に生じるカッターマークをシミュレーションするための方法を開発した.円筒外周加工,円筒内周加工,およびコーナ部ポケット加工について実加工試験とシミュレーションとを行い,開発した方法により加工面のカッターマークがシミュレーションできることを明らかにした. 数値制御装置の補正パラメータを変更することで故意に過大な運動誤差を発生させ,送り駆動系の運動誤差が加工面に及ぼす影響を実験とシミュレーションの両面から検討した.その結果,カッターマークの間隔の乱れが肉眼では加工面の傷として観察されること,運動誤差の絶対量ではなくその変化率が加工面に対して影響を及ぼすことなどの重要な事実が明らかになった. これらの成果は国内および国際学会で発表し,工作機械技術振興賞(奨励賞)と日本機械学会優秀講演論文賞を受賞したほか,英文誌に論文を投稿中である.また,日本機械学会RC249研究分科会においてもその成果を発表した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成23年度中に,直進軸送り駆動系のモデル化とエンドミル外周加工による加工面のシミュレーション方法の開発を完了し,送り駆動系の運動誤差がエンドミル外周加工による加工面に及ぼす影響を明らかにすることができた.
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今後の研究の推進方策 |
平成24年度には,回転軸送り駆動系のモデル化とボールエンドミルによる自由曲面加工のシミュレーション方法とを開発し,直進軸と回転軸とを使った同時5軸制御加工による仕上げ加工面のシミュレーションを行う.同一の形状を様々な工具経路で加工した場合のシミュレーションおよび実加工試験とを行い,送り駆動系の運動特性を考慮した工具経路評価方法の確立を目指す.
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次年度の研究費の使用計画 |
送り駆動系の運動特性を解析するための測定装置,シミュレーションのためのソフトウェア,および実加工試験に使用する被削材と工具を購入するほか,最新動向の調査および成果発表のための旅費と論文投稿料とが必要である.
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