研究課題
数値制御工作機械で加工を行う際,送り駆動系の運動特性が仕上げ加工面に影響を及ぼすことが知られており,工具経路を工夫することで加工面が改善する場合があることも知られている.しかし,送り駆動系の運動特性と加工面との関係は明らかにされていない.本研究の目的は,送り駆動系の運動特性と工具経路とが加工面に及ぼす影響を明らかにすることで,送り駆動系の運動特性をCAMによる工具経路生成に反映させるための手段を提供することにある.平成23年度には,実際の数値制御工作機械の送り駆動系をモデル化し,その運動特性をシミュレーションで表現できるようにした.さらに,送り駆動系の運動軌跡から加工面形状と加工面に生じるカッターマークとをシミュレーションするための方法を開発し,送り駆動系の運動誤差が加工面に及ぼす影響を実験とシミュレーションの両面から検討した.その結果,カッターマークの間隔の乱れが肉眼では加工面の傷として観察されること,運動誤差の絶対量ではなくその変化率が加工面に対して影響を及ぼすことなどの重要な事実が明らかになった.平成24年度には,回転軸を含む同時多軸制御運動である円すい台加工の実験とシミュレーションとを行い,工具姿勢の変化や速度変動が加工面に及ぼす影響を検討したほか,工具軸方向の運動誤差は加工結果に影響を及ぼさないことを明らかにした.さらに,ボールエンドミルによる曲面加工について,同一の形状に対して複数の工具経路による加工試験とそのシミュレーションとを行い,開発した方法により実際の加工面形状を適切に予測できることを確認した.開発したシミュレーション方法を使って,同じ運動誤差が生じていても工具経路によって加工面に及ぼす影響が異なることとその原因を実験とシミュレーションの両面から明らかにし,工作機械の運動特性を考慮した知能化CAMシステムの実現に向けた重要な知見を得ることができた.
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