本研究では、超短光パルスマイクロ接合法にオートフォーカス機構を組み込み、被接合材料の境界面高さに応じて集光点位置をリアルタイムに自動調整可能な接合システムを開発する。本システムを用いれば、確実に境界面のみを溶融させることができ、安定性、信頼性、品質性の観点から高度化した接合技術を確立できる。さらに、構築されるオートフォーカス機構は生産加工分野における要素技術となるため穴加工、溝加工をはじめとする多くの微細加工分野への展開が可能であり、三次元微細構造の形成技術に応用することもできる。 平成25年度の研究成果としては、平成24年度に開発した接合システムをさらに高度化するために、自動焦点検出プログラムにより、被接合材料間の空隙分布を検出し、空隙の大きさに応じて、レーザー光の出力を自動で調整可能な接合システムを開発した。具体的には、試料間隙が中心から徐々に広くなる試料に対して、接合間隙の大きさに応じて入射パルスエネルギーを変化させることにより、試料間隙が大きい周辺部においても試料を溶融させ、従来の接合方式よりも広範囲な接合領域を形成可能な接合システムを構築した。 試料間隙の大きさによらず一定の入射パルスエネルギーにて接合を行う旧方式の接合システム、および、開発した接合システムにより、波長1064 nm、パルス幅400 fs、繰返し周波数1 MHzのフェムト秒レーザーパルスを、開口数0.40の対物レンズにより、BK7ガラスの境界面に集光照射し、走査速度10 mm/s、溝間隔50 μmにて、最大半径1 mmの螺旋状の接合(走査面積3.14 mm2)を10回行った。この結果、接合成功率は、旧方式(入射パルスエネルギー 1 μJ)の場合60 %、旧方式(入射パルスエネルギー 1.2 μJ)の場合70 %、新方式(最大入射パルスエネルギー 1.2 μJ)の場合100 %であった。
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