ダイヤモンドライクカーボン(DLC)の超潤滑機構を明らかにした。従来研究により50 nmオーダーで荒れた表面の摺動において、ナノベアリングが形成し潤滑するということがわかっていた。本研究費では、数nmレベルで平坦な表面における摺動実験を行うこととした。数nmレベルで平坦な表面の対向針を持つMEMSデバイスは、集束イオンビーム化学気相成膜法を用いて、摺動面に高入射角で行うことで、平坦なDLC表面を作成することができた。そのMEMSデバイスを用いて、平坦な表面においてもナノベアリングが形成され潤滑効果を向上していることを明らかにした。さらに摺動回数と共にナノベアリングの個数が増加した。ナノベアリングを挟み込んだDLC界面における摩擦特性を測定してみたところ、ナノベアリングの個数が増加するに伴い、対向針間の摩擦係数が減少することを発見した。 当初予定していたグラファイト-フラーレンの超潤滑機構は、使用していた透過型電子顕微鏡(TEM)ではフラーレンもグラファイトも観察することが困難であった。観察できない際の対処法として提案していた、金属内包フラーレンで観察を実現するという手法は、残念ながら本実験において有効ではなかった。
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