研究課題
耐衝撃性を有しコンパクトでありながら焦点を調整可能な液体マイクロレンズを実現するために,直流電圧の印加により電極間に活発な流れが発生する電界共役流体(ECF)の発生圧力を用いたシステムを開発している.本研究課題では,ECFマイクロ液圧源の出力パワー密度の向上を目的として,(a)三角柱-スリット形電極対(TPSE)からなるECFポンプチップを積層するデバイス積層化(MDS)と,(b) TPSE自体の高アスペクト比化(HAR)の二種類の三次元集積方法を提案した.MDSとして,MEMS技術で製作したECFポンプチップを超精密機械加工によるスルーホールで連結させて,高さ0.5mmのTPSEを直列10対×並列3対×2層集積することに成功した.HARを具現する方法として,一層目の鋳型と電極構造体を研削により平坦化し,その上に二層目を積層するMEMSプロセスを用いて,アスペクト比を高くした高さ0.88mmのTPSEを直列10対×並列3対集積した.製作した三次元集積ECFマイクロポンプ(HAR)の最大出力パワー密度は,3.0kV印加時に233kW/m3であり,出力パワー密度が向上することを確認した.また,MEMSプロセスで製作したECFマイクロポンプとシリコーンゴム膜(PDMS)を用いて,PDMS膜厚0.12mm,直径5mmのレンズを製作した.最大ジェット圧力は5kV 電圧印加時に17.5kPaであった.印加電圧の増加にともない,発生圧力が2次関数的に増加しており,それにともないレンズ膜(内径5mm)が膨らみ形状が変化していることがレンズの下にある文字から明らかになった.圧力源を内蔵した可変焦点マイクロレンズの実現を目指し, ECFを用いた新たなマイクロレンズを提案し,実験によりその有効性を示した.
すべて 2012
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International Journal of Automation Technology
巻: Vol. 6, No. 4 ページ: 476-481