研究課題/領域番号 |
23760137
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
脇元 修一 岡山大学, 異分野融合先端研究コア, 准教授 (40452560)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | アクチュエータ / ソフトメカニズム / センサ / 空気圧駆動 |
研究概要 |
本研究ではサーボ制御が可能な小径の収縮型ラバーアクチュエータの開発を目指している。ゴム構造体から成り空気圧駆動で収縮運動を実現するアクチュエータは、そのコンプライアンスと動作形態が生体の筋肉と近いため一般に人工筋肉として使用されることが多い。しかしながら、現状ではその多くがセンチメートルオーダーの外径であり、また、その制御には外部にセンサを配置する必要性がある。アクチュエータの小型化と内界センサによるセンシングが実現すれば、狭隘部で使用する新たな医療用ツールやマイクロロボットなどの開発へと繋がる。また、生物の複雑な筋繊維の構成を模倣したバンドル化が可能となり、例えば象の鼻や人間の舌のような非常に多自由度の動作が可能なメカニズムへの発展が期待できる。 本年度では小型のサーボラバーアクチュエータの具現化の基礎研究として、センサを機構内に搭載したアクチュエータの実現と小型アクチュエータの製作手法の確立をそれぞれ実施した。 前者においては導電性高分子をセンサとして機構内に有する直径16mmのラバーアクチュエータを製作し、アクチュエータの変位量を導電性高分子センサによって計測することが可能であること、また、サーボ制御が実現できることを確認した。 後者では精密な機械加工とゴム成型技術を構築することで直径1mmのラバーアクチュエータを具現化し空気圧印加による収縮運動を実現した。 これらの基礎開発技術を組み合わせることで、サーボマイクロラバーアクチュエータの達成が見込まれる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
申請時の計画では本年度中に直径1.0mmのラバーアクチュエータの開発とさらなる小型化、およびそれらへの内界センサの付与を行う予定であった。しかしながら、センサ材料の選定と搭載方法の検討については当初計画よりも時間が費やされることが予想されたため、直径1.0mmのラバーアクチュエータの具現化と搭載するセンサ材料の選定とその基礎実験をそれぞれ並行して実施することとした。 センサ材料においては、複数の機能性高分子材料について検討しながら所望の電気的特性と機械的特性を有する材料を選定する必要があったため、当初計画では考慮していなかった製作が容易な直径16mmの大型のラバーアクチュエータを製作し、これを対象としながらセンサ搭載に関する実験を進めた。 この実験過程が加わったため直径1.0mmより小型のアクチュエータの実現とそれに対するセンサの搭載には至っておらず、現段階での進捗状況としては申請時の計画に対してやや遅れていると言わざるを得ない。 しかしながら、直径1.0mmのアクチュエータの製作手法は確立でき、また、センサの搭載に関しても本年度の成果によって目処がたっており、本研究全体の最終目的の達成に関しては十分に見込みがあると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
本年度の研究によって達成したセンサとアクチュエータの製作手法を基盤としてセンサを搭載した小径のラバーアクチュエータの開発を実施していく。まず、外径1.0mmのセンサ搭載型ラバーアクチュエータの開発に着手し、そのアクチュエータの圧力―変位特性などの駆動特性を明らかにするとともに、その際のセンサ出力の変化を調べる。これによってアクチュエータのサーボ制御を実現し制御特性を明らかにしていく。 その後、段階的にアクチュエータのサイズを小さくしていきながら、サーボ制御を実現していく予定である。ダウンサイジングの過程においては、アクチュエータの小型化に伴う製作精度の相対的な低下からアクチュエータのゴム厚などを適切に設計していく必要が生じる可能性がある。この問題に対しては材料非線形と幾何学的非線形を考慮した非線形有限要素法解析を行うことで解決を図る。 アクチュエータの製作手法としては当面は本年度確立した型成型によって実施していくがより生産性の高い製作方法として押し出し/引き抜き成型手法についても、同時にその可能性を検討していく予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
本年度の請求額の一部を次年度に使用することとなっているが、これは本年度では直径1.0mmのアクチュエータの開発に留まり、1.0mmより小径のアクチュエータの開発の着手に至らなかったためである。 今後、この研究費によって小径のアクチュエータを具現化するための金型の製作を実施する予定である。また、翌年度以降に請求する研究費ではさらなるアクチュエータの小型化を達成するために、その製作費や材料費に使用する他、製作したアクチュエータの駆動特性や制御特性についての評価システムの構築費に充てていく予定である。
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