研究課題/領域番号 |
23760137
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
脇元 修一 岡山大学, 異分野融合先端研究コア, 准教授(特任) (40452560)
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キーワード | アクチュエータ / ソフトメカニズム / センサ / 空気圧アクチュエータ |
研究概要 |
本研究は空気圧駆動ラバーアクチュエータの小型化とセンサ搭載によるスマート化の実現を目的としている.当初計画では軸方向収縮型ラバーアクチュエータに関しての研究のみを予定していたが,他の機構を用いることなく直接的にロボットハンドやロボットレッグへの適用が可能であることに着目し,湾曲型ラバーアクチュエータに関しても研究を実施した. 軸方向収縮型ラバーアクチュエータでは,ラバー材料のモールディングのみで製作が可能なアクチュエータ構造を材料非線形性と幾何学的非線形性を考慮した非線形有限要素法解析によって導出した.従来の軸方向収縮型アクチュエータでは繊維材料等を複合する必要があったが,硬度の異なる2種類のゴム材料を用いることで繊維レスなアクチュエータの実現に成功した.空気圧35kPaG印加時において約8%の収縮率を確認した. 湾曲型ラバーアクチュエータでは,正・負の空気圧によって2方向に湾曲運動が可能なラバーアクチュエータを製作し,圧電性高分子膜を用いたセンサの搭載,およびアクチュエータの小型化をそれぞれ実施した.センサの搭載ではラバーアクチュエータの構造内に圧電性高分子(P(VDF/TrFE))センサを成型することで,アクチュエータの湾曲量と物体把持時における把持力をそれぞれ検出することが可能であった.また,小型においては厚さが0.2mmの極細湾曲アクチュエータの実現に成功し,正・負の空気圧の印加による2方向への湾曲運動を確認した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
軸方向収縮型ラバーアクチュエータではラバー材料のみで収縮変位が出力可能な構造を導出している.ラバー以外の材料を用いないため,ラバーモールディングのみでアクチュエータを製作することが可能であり,この成果は今後の小型化につながるものと考えられる. これに加えて,新たに湾曲型ラバーアクチュエータに対して小型化とセンサの搭載に関してそれぞれ成果を出すことが出来ている.小型化では厚さ0.2mmのアクチュエータを実現しており,これに正・負の空気圧を印加することで2方向への湾曲運動を確認している.更にセンサの搭載では圧電高分子センサをラバーアクチュエータの構造内部に成型することに成功しており,湾曲量と把持力の独立した検出が可能であることを確認した.これらの結果からおおむね順調に進展していると考えている.
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今後の研究の推進方策 |
湾曲型ラバーアクチュエータに関してはセンサの搭載によるアクチュエータのスマート化と構造の改善による高出力化を実施していく予定である.スマート化ではセンサとして圧電高分子以外の材料も試験していく予定であり,サーボ制御の実現を目指す.高出力化では正・負圧による印加可能圧力範囲差を補償する設計を行うことで,出力の向上を目指す. 軸方向収縮型ラバーアクチュエータに関しては,複数のアクチュエータを複合することによって新規な多自由度メカニズムを構築していく予定である.研究計画では,軸方向収縮型ラバーアクチュエータに関しての小型化とスマート化を実施する予定であったが,湾曲型ラバーアクチュエータによってこれらの基礎技術を確立することとし,軸方向収縮型ラバーアクチュエータでは,直径1mm程度のアクチュエータによるアプリケーションに関する研究を実施していく.
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次年度の研究費の使用計画 |
アクチュエータを開発していく上でのモールドの製作費,ラバー材料費,センサ用材料費などに使用する予定である. この他,研究成果発表のための学会参加費や出張費,論文投稿費等を予定している.
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