研究概要 |
沸騰水型原子炉(BWR)の経済性・安全性向上のためには、燃料棒周りなどにみられる気液環状二相流の液膜挙動の把握が重要である。しかし、実機は高温高圧(7MPa , 558K)のため可視化や詳細な測定が困難であり現状では多くの実験は大気圧下で行われている。一般に流動現象を支配する因子に気液の物性があげられるが、大気圧下と実機では気液の物性値が大きく異なり実機の液膜挙動と異なる可能性がある。 森らはこれまで、代替流体を用いた気液の密度比が異なる系に対して定電流法による液膜厚さの測定を行い、同一の管径、液相見かけ速度、気液粘度、表面張力の条件下では平均、最大、最小液膜厚さを気相ウェーバー数WeG で統一的に整理できるという知見を得ている。本年度は,気液界面挙動に影響のある表面張力に着目し液膜挙動に与える影響,特に液膜厚さについて実験的に検討を行った。結果として気液環状二相流中の液膜挙動に与える表面張力の影響について、液相にエタノール水溶液を使用することにより表面張力を変化させてその影響を検討した結果、表面張力の低下は液膜厚さやじょう乱波波高、通過頻度を減少させるがWeG数で整理でき、基底液膜流量には大きな影響を与えないという知見が得られた。
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