微細孔の濡れ特性に関し実験および理論モデル構築を行った.まず幅広く研究されているキャピラリーライズについて実験を行い,粘性による非定常性を考慮したモデル構築を行った.次に先端を封じることで微細孔の濡れ特性について調査を行った.内径が100マイクロメートル程度の場合,通常のキャピラリー内の上昇に比べて10分の1以下程度の濡れになることが明らかになった.また平衡状態で気液界面での表面張力によって生じる内圧がすぐには発生しないため,全く液は侵入せずに,初期条件として微細孔内が高圧では無く,非定常性が重要であることを示した. 次年度には,比較的大きな管系での実験および理論モデル構築を行った.初年度の結果にて微細孔ほど孔が濡れやすく,洗浄も容易だったためである.その結果,内径が2ミリメートル程度の場合,先端を封じることによって表面張力による細管濡れは発生せず,濡らすためには外部圧力が必要であることが明らかになった.また外部圧力によって濡れる場合には,その90%以上が気体の圧縮によっており,物質移動の影響は小さいことが示された.従来のモデルにおいては,物質移動のみを考慮しているため,微細孔の濡れのモデルについて本質的に書き換える必要があることが明らかになった.また超純水を使用した実験では,一回目と二回目以降の圧縮において大きな違いが生じており,狭い限られた液に気体が溶解するため,液体内の溶解分布も大きな影響を示すことが明らかになった.
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