研究課題/領域番号 |
23760153
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
山口 浩樹 名古屋大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (50432240)
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キーワード | 流体工学 / 表面相互作用 / 適応係数 / 分子線散乱実験 |
研究概要 |
本研究では,非金属材料を対象に,統計的な効率を表すエネルギー適応係数は従来の金属材料に対する手法の拡張により新しい手法を確立して測定を行い,特定の入射条件に対する散乱角度分布という詳細機構は既存の装置による分子線散乱実験を実施し,実験データを蓄積する.そして,分子動力学法による数値解析を援用して「統計的」と「詳細」の両極端な実験結果を補完し,流体‐壁面間相互作用の相補的な解明を試みる.特にエネルギー適応係数を支配している因子を明らかにする. まず,エネルギー適応係数測定においては,真空下の熱伝導からエネルギー適応係数を測定するLow Pressure法に,ヒーターによる固体試料の加熱という新しい手法を導入することで手法の開発を行った.既に計測値の報告のある白金による計測を実施し,得られた結果と文献値を比較することによって手法の検証を行った.その結果,非常に高温となる領域を除いて十分な精度で計測できることを明らかにした. 次に,既存の分子線散乱実験装置の精度の検証を行った.分子線を固体試料に照射して散乱分布の取得を試みたが,排気系の問題により散乱分子の検出には至らなかった.そのため,分子線と固体試料の位置合わせを再度実施し,排気系の問題の解消を試みた. また,分子動力学法を用いて単原子分子気体の白金からの散乱過程を数値的に解析した.そして,ポテンシャルパラメータや分子質量,分子直径などが相互作用や適応係数に与える影響を調査した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
分子線散乱実験においては,散乱分子の検出に至っていない.排気系の問題を解消する必要がある上に,試行錯誤する際には超高真空装置を大気圧に戻さなければならないために長時間の真空引きが必要であり,多少の計画の遅れがみられる.
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今後の研究の推進方策 |
まず,遅れがみられている分子線散乱実験における対策に注力する.そして,装置の改善後は試料気体にヘリウムを用いた分子線散乱実験を行う.ヘリウムは非常に小さく軽い分子であるために強い鏡面反射を示すことが知られているため,装置の検証を行うことが可能となる. 一方,エネルギー適応係数測定実験に関しては,既に手法の検証ができたため,非金属材料であるガラス,高分子材料などの計測を実施する. 数値解析においても重要な因子を明らかにする定性的な分析を進めるとともに,実際の分子線散乱実験条件を再現するような系での解析も行う.
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次年度の研究費の使用計画 |
特にエネルギー適応係数測定実験で用いるヒーターは既製品ではなく適切に設計されたものが望ましいため,計測に必要な分の新規ヒーターの作製を行う.また,分子線散乱実験の装置の改善を行っていく.そのため,研究費を繰り越して次年度の研究費と合わせることで,さらなる改良ができるようにする.
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