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2011 年度 実施状況報告書

海表面への雨滴衝突により引き起こされる水面波の波高減衰現象の解明

研究課題

研究課題/領域番号 23760157
研究機関京都大学

研究代表者

高垣 直尚  京都大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (00554221)

研究期間 (年度) 2011-04-28 – 2013-03-31
キーワード風波 / 降雨 / 運動量輸送
研究概要

本研究は,雨滴の海表面への衝突により引き起こされる水面波の波高の減衰現象を,気液二相流の乱流解析や最新の計測装置を用いた室内実験を実施することにより解明することを目的とする.平成23年度の研究実施概要を以下に示す.(1) 降雨を伴う風波乱流場における気液両相の流速変動および水位変動計測手法の確立風波と降雨が共存する場合の波高減衰実験を行うために,降雨装置を取り付けた全長20mの風波水槽において,降雨を伴う風波乱流場における気流および液流の流速変動の測定技術を確立した.気流の流速変動の測定に関しては,降雨による雨滴のガラス面への付着によりレーザードップラ流速計(LDV)のレーザ光をテストセクションへと入射できない点が問題であった.そこで,本問題点を解決するために雨滴付着防止装置を開発し,本装置を用いたLDV計測により降雨下における気流速測定が可能であることを確認した.また,液流の流速変動の測定に関しては,従来のLDVを使用した液流測定法が適用可能であることを確認した.また,風波水槽にためられた水の量は,降雨により時々刻々と増加する.そのため,降雨による水の増加量と同量の水を常に水槽から排水する必要がある.そこで,定量式波高計,電磁弁,ポンプおよびシーケンサを併用した水位調整システムを開発した.(2)風波の波高減衰現象に及ぼす降雨の影響風波と降雨が共存する場合の波高減衰実験を行うために,風波水槽および全長1mの降雨発生装置を使用した準備実験を行った.本実験では,(1)で確立された気流・液流測定法および水位調整システムを使用した.その結果,本装置を用いた場合であっても波高減衰現象が起こることを確認し,さらに,気液両相の乱流状態が降雨により強く影響を受けていることを示した.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

気液両相の流速変動および水位変動計測手法の確立のうち,気液両相の流速変動測定法を確立した.また,降雨時の風波水槽中の水量の調節を行うために,定量式波高計,電磁弁,ポンプおよびシーケンサを併用した水位調整システムを新規に開発した.このように本年度開発された,気液両相の流速測定法および水位調整システムを使用し,本水槽においても波高減衰現象が起こることを確認し,さらに,気液両相の乱流状態が降雨により強く影響を受けていることを確認した.以上より,研究の目的は,当初の計画通りおおむね順調に進展している.

今後の研究の推進方策

平成23年度には,全長1mの降雨装置を用いて降雨により風波の波高減衰現象が引き起こされることを確認した.しかし,どのような風速条件および降雨条件で波高の減衰が引き起こされるのかは明らかではない.また,その減衰の程度も明らかではない.そこで,平成24年度には,さまざまな風速・降雨条件のもとで波高の減衰に関するさらなる検証を行う予定である.具体的には,平成23年度に使用した装置よりもより大きな全長4mの降雨装置を使用し,風速および降雨条件を4通りに変化させ,降雨下における流速変動および水位変動の計測により波高減衰現象の評価を行う.流速測定は,レーザードップラ流速計および平成23年度に開発した雨滴付着防止装置を使用する.また,水位変動の測定は,定量式波高計を用いる.また,波高減衰現象の評価手法は本研究独自のものであるものの,従来の波高減衰現象に関する諸研究との比較検討を行うために,降雨の下流域において波高減衰現象の同定を行う従来の評価手法をも用いて,波高減衰現象の強度の評価を行う予定である.

次年度の研究費の使用計画

平成24年度には,研究費の6から8割を実験装置の製作および実験消耗品の購入に費やす.具体的には,降雨装置に関しては,天板下部に取り付けられた注射針を購入する必要がある.平成24年度は全長4mの降雨装置を使用する予定であるが,この場合は約4000本の注射針を使用し,さらに,降雨状況を4通りに変更するためには合計1万本以上の注射針が必要であると見積もられる.また,アクリル製やステンレス製のプレートやパイプを購入し,降雨装置を逐次改修・補強する必要がある.風波水槽に関しては,降雨装置と同様に,アクリル板等を購入し逐次回収を行う必要がある.また,海洋と同程度の塩分濃度とするために,食塩を購入する必要があるが,水槽の大きさが12トンであるため,一度の実験で使用する食塩の量は400kgと膨大である.また,流速測定に関しては,レーザー機器を使用するため,レーザー機器の使用・維持を行う必要があり,また,レーザー機器と併せて使用する流速測定用試薬を購入する.また,実験データ処理および膨大な実験データの保管のために,コンピュータおよび外部記憶装置を購入する.さらに,他の研究者との情報交換のための打ち合わせや,学会参加,論文発表等のために研究費を使用する予定である.

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2012 2011

すべて 学会発表 (5件)

  • [学会発表] 高速風洞水槽を用いた風波界面上の抗力測定2012

    • 著者名/発表者名
      高垣直尚,岩野耕治,島田 暁,倉本武典,黒瀬良一,小森 悟
    • 学会等名
      2012年度日本海洋学会春季大会
    • 発表場所
      筑波大学
    • 年月日
      2012年3月27日
  • [学会発表] Effect of Fetch and Entrained Bubbles on Mass Transfer Velocity across the Wind-Driven Air-Water Interface with Wave Breaking2012

    • 著者名/発表者名
      K. Iwano, N. Takagaki, E. Ilyasov, R. Kurose & S. Komori
    • 学会等名
      The 8th KSME-JSME Thermal and Fluids Engineering Conference
    • 発表場所
      Songdo Convensia Cener, Songdo, Incheon, Korea
    • 年月日
      2012年3月18日
  • [学会発表] Momentum transfer at the air-water interface in extremely-high wind conditions2012

    • 著者名/発表者名
      N. Takagaki, S. Shimada, T. Kuramoto, K. Iwano, R. Kurose & S. Komori
    • 学会等名
      2012 Ocean Sciences Meeting
    • 発表場所
      Salt lake city, Utah, USA
    • 年月日
      2012年2月20日
  • [学会発表] 高風速下における砕波気液界面を通しての運動量輸送2011

    • 著者名/発表者名
      倉本武典,島田 暁,岩野耕治,高垣直尚,黒瀬良一,小森 悟
    • 学会等名
      日本流体力学会 年会2011
    • 発表場所
      東京,首都大学東京
    • 年月日
      2011年9月7日
  • [学会発表] 砕波を伴う高風速域における物質輸送量の評価2011

    • 著者名/発表者名
      岩野 耕治,高垣 直尚,Ilyasov Emil,黒瀬 良一,小森 悟
    • 学会等名
      日本機械学会2011年度年次大会
    • 発表場所
      東京,東京工業大学
    • 年月日
      2011年9月11日

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公開日: 2013-07-10  

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