研究課題/領域番号 |
23760159
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
堀口 祐憲 大阪大学, 基礎工学研究科, 准教授 (60314837)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | インデューサ / キャビテーション / ケーシングトリートメント |
研究概要 |
ロケット用ターボポンプインデューサの開発過程でキャビテーション不安定現象が問題となっている。キャビテーション不安定現象は、翼端漏れ渦キャビテーションと隣接翼の干渉によって生じる低周波数の不安定現象と、逆流渦キャビテーションが翼と干渉することによって生じる高周波数の不安定現象の2種に大別される。平成23年度は、研究代表者が見出した知見に基づき、翼端漏れ渦キャビテーションの隣接翼との干渉、並びに逆流渦キャビテーションの発生を防止することで、すべてのキャビテーション不安定現象の発生を防止する新しいデバイス、「逆流再循環装置」の設計に取り組んだ。 キャビテーション流れに対する数値計算を実施し、H-II用液体酸素ターボポンプインデューサと同等の基準インペラに対し、「翼端漏れ渦キャビテーションと逆流を逆流再循環装置内に導く」という基準に従って逆流再循環装置の形状を見出すことに取り組んだ。結論から述べると、不安定現象の抑制に最適な形状を未だ見いだせていない。逆流再循環装置に翼端漏れ渦キャビテーションと逆流を導くことに成功したものの、主流に再循環流を戻す箇所で圧力が低圧になるため、キャビティが発生し、これに起因して逆流再循環装置内でサージングが発生するという問題に直面している。 この問題を解決するために、周方向グルーブと軸方向グルーブ(Jグルーブ)を組み合わせたケーシングトリートメントの設計、開発に新たに取り組んでいる。研究代表者は、従来の研究で、周方向グルーブにより、翼端漏れ渦キャビテーションと隣接翼の干渉によって生じる低周波数の不安定現象の抑制に成功している。また、軸方向グルーブにより、高周波数のキャビテーション不安定現象が抑制されることを確認している。これらをうまく組み合わせることで、すべてのキャビテーション不安定現象を抑制するデバイスを創出できると考え、その開発を急いでいる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
キャビテーション流れに対する数値計算を実施し、翼端漏れ渦キャビテーションと逆流を装置内に導ける逆流再循環装置の設計に成功した。しかし、主流に再循環流を戻す箇所で圧力が低圧になってキャビティが発生し、これに起因して逆流再循環装置内でサージングが発生するという問題に直面している。
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今後の研究の推進方策 |
逆流再循環装置内でのキャビテーションサージの発生を防止するために、周方向グルーブと軸方向グルーブ(Jグルーブ)を組み合わせたケーシングトリートメントの設計、開発に新たに取り組んでいる。研究代表者は、従来の研究で、周方向グルーブにより、翼端漏れ渦キャビテーションと隣接翼の干渉によって生じる低周波数の不安定現象の抑制に成功している。また、軸方向グルーブにより、高周波数のキャビテーション不安定現象が抑制されることを確認している。これらをうまく組み合わせることで、すべてのキャビテーション不安定現象を抑制するデバイスを創出できると考え、その方向で研究を推進している。
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次年度の研究費の使用計画 |
設計したケーシングトリートメントを設けたケーシングとその関連部品の製作に約100万円、残額約30万円を消耗品費と旅費として使用する予定である。
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