研究課題
固体高分子形燃料電池(PEFC)における水管理は長期安定運転や性能向上の実現において重要な課題の1つであり,申請者は付加装置が不要な生成水自己管理型セパレータを開発することを目的としている.本申請研究では,金属多孔質体で作成したセパレータにより,膜電極接合体(MEA)の湿潤維持のための保水性能および余剰水の排水性能を確認し,そのセパレータを数セル程度スタック化して電池性能の向上を目指すものである.本年度は,ガス流路部が観察できる可視化セルを3セルスタックの任意の位置に設置して,スタック内部の生成水を観察した.その結果,エンドセルと中央セルで異なるセル温度,生成水分布を観測することができた.さらに,生成水がガス供給用のマニフォールドを介して他のセルに輸送されることがあり,スタック全体としての水管理が重要である結果を示すことができた.一方,金属多孔質体で作成したセパレータについては,前年度に実施した金属粉末射出成形法(MIM法)により5cm×5cmの電極サイズをもつセパレータを試作した結果,金型が大きすぎたため成型時に反りが発生し,組立時の接触抵抗の増大や水素漏れなどが生じた.そこで,MIM法の得意とする小型セパレータ(2cm×2cmの電極サイズ)を開発し,5セルスタック時の性能を評価した.その結果,現状のMIMセパレータではカーボン製のものと比較して接触抵抗が高く,主として,製品の平面度を改善する必要があることがわかった.平面度を高めるためには,MIM法における焼結温度やゲートの位置,混合する樹脂の量など,金型の形状や加工方法を検討する必要があり,申請当初に期待していた成果を十分に得ることはできなかった.今後は,接触抵抗を低減するために,高導電材料を添加するなどの対策も施すことで,申請当初に期待していた成果が得られると考えている.
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Journal of ECS transactions
巻: Vol.51 Issue 1 ページ: 印刷中
SEAJ Journal
巻: No.140 ページ: 24-25