研究課題
1.自己熱生成乾燥プロセスのエクセルギー解析を行った。その結果、流動層での潜熱交換部分でのエクセルギー損失が大きいことを明らかにし、乾燥プロセスの更なる省エネルギーの可能性を示した。2. これまでの研究では乾燥に用いた空気が過剰であったため、大きなエクセルギー損失が起こっていたが、プロセスシミュレータを用いて、空気量を変えた条件でプロセスの物質・エネルギー収支計算を行い、乾燥に必要な空気量とエネルギーの関係を明らかにした。3. 自己熱乾燥プロセスでの一次エネルギー消費量とCO2排出量を計算した。その結果、バイオマスを乾燥させる場合、灯油や都市ガスの熱風乾燥型に比べて自己熱再生方式にすることにより36.0%の一次エネルギーを削減することができることが分かった。さらに、CO2排出量に関しては、灯油に対して69.0%、都市ガスに対して58.9%削減することが可能であり、現在の乾燥機のCO2排出量に比べて半分以下にすることができるということがわかった。4. 実際の乾燥速度および伝熱速度を求めるために、乾燥装置の設計を行った。装置は、伝熱速度を大きくするために横型流動層型とし、バイオマス試料が流動化しない場合も固定層で乾燥速度および伝熱速度が測定できる仕様とした。さらに、各部屋を仕切ることにより独立で運転ができるようにもした。5. 水蒸気の凝縮速度を測定するために、本乾燥装置で想定している圧力を考慮し、本実験に適した蒸気ボイラーとして、水蒸気流量 9 kg/h, 水蒸気最大圧力 5 kg/cm2の能力を有するOSG2-90Sを選定し、購入した。
3: やや遅れている
平成23年10月に研究代表者が異動になり、それまで保有していた実験装置の一部を使用することができなくなったため、当初の研究計画に比べて遅れが生じた。プロセスのエクセルギー解析や、物質・エネルギー収支計算についてはほぼ当初の予定通り進行している。
1. 平成23年度に設計をした流動層型乾燥装置を作製し、加圧水蒸気中の非凝縮ガス(例として、空気)の濃度を変化させながら、水蒸気の伝熱管内での凝縮熱を利用した流動層乾燥器での伝熱速度と乾燥速度の測定を行う。2. 流動化しないバイオマス試料を念頭に置き、固定層での乾燥速度や伝熱速度の実験的測定を行う。3. 上記の実験結果や文献値に基づいて、現実的な乾燥速度や伝熱速度での乾燥プロセス及び装置の検討を行う。
当初は平成23年度に実験装置の設計及び製作を行う予定であったが、研究代表者が平成23年10月に異動になり、平成23年度中は時間的に装置設計までしか進行しなかった。そのため、平成23年度に使用予定であった物品費約110万円(内訳 装置約900千円と消耗品約200千円)については、平成24年度に繰り越して使用する予定である。各項目の研究費使用計画は下記のとおりである。1. 平成23年度に設計をした実験装置の製作費として用いる(繰り越し分約900千円)。2. 実験に必要な消耗品の購入を行う(繰り越し分約200千円+平成24年度予定400千円)3. 乾燥プロセスの省エネルギー化の検討のため、プロセスシミュレーションソフトライセンス代および講習受講代に充てる(約60千円)。4. 研究成果発表や最新研究情報収集のための学会参加費・出張旅費として用いる(国際学会約350千円+国内学会約100千円)。5. 研究に必要な学術論文や図書などの文献調査費として用いる(約90千円)。
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Industrial and Engineering Chemistry Research
巻: in press ページ: in press
10.1021/ie2027298
分離技術
巻: 41 ページ: 29-35