研究課題/領域番号 |
23760181
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研究機関 | 東京農工大学 |
研究代表者 |
上田 祐樹 東京農工大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (00447509)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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キーワード | ヒートポンプ / 熱音響 / 加熱機 |
研究概要 |
本年度は熱音響スターリングヒートポンプを制作しテストした。制作した装置はループ状の管、直管、およびリニアモーターで構成されている。ループ状の管内にはステンレス製のメッシュを積層して制作した蓄熱器が挿入されている。ループ管および直管には5気圧の窒素が内封されている。リニアモータは直管の端につながれ、直管のもう一端はループ間につながれている。リニアモータを用いてループ管内に音波を入力すると蓄熱器の両端に温度差ができた。装置内の圧力場流速場を測定することで、温度差ができた理由は、蓄熱器内の流体がスターリングサイクルを経験したためであることが分かった。さらに、30W程度のパワーを持つ音波を入力したとき、蓄熱器の高温端の温度は370℃まで上昇した。これは低温端の温度より300℃以上高い。したがって、本年度の研究により音波を用いたスターリングヒートポンプが実現でき、さらに300℃以上の温度を実現できることが分かった。さらに、下記の蓄熱器のモデルを用いた数値計算を行い、実験結果との比較を行った。上記の実験と並行して、ステンレスメッシュを積層して制作した蓄熱器の実験によるモデル化も行った。具体的には蓄熱器に音波を通過させ、通過前と通過後の音波の振幅比、位相差を測定し、蓄熱器の等価流路径を見積もった。また、この等価流路径の蓄熱器両端の温度差依存性も見積もった。実験の結果、複雑な流路を持つ蓄熱器も円管の束にモデル化できることが分かった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究計画では本年度は蓄熱器のモデル化およびモデルの妥当性の検討を行う予定であった。これに対して、実績はモデル化を達成し、さらにそのモデルを用いた数値計算と実機(熱音響スターリングヒートポンプ)の性能の比較を行い、よい一致を得たため。
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今後の研究の推進方策 |
計画通り、本年度は数値計算による装置の再設計を行い、さらに100℃以上の温度における加熱性能の測定を行う。また、蓄熱器低温端の温度を300℃として、600℃が実現できるかどうかの確認を行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成23年度は成果が間に合わず、参加予定の国際会議に出席できなかった。その分の予算を次年度に繰り越すこととなった。これに対しては得られた成果を平成24年度に国際会議で報告する予定である。また、当初より配分予定であった分は主に装置の材料費および加工費に使用する。
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