水素を生成する化学反応からなる水蒸気改質に関して,それぞれの反応に相応しい触媒が矢継ぎ早に開発されており,化学工学という観点からは,実用化が近いと感じさせる.しかしながら,特に小型の改質器を実現する上においては,温度コントロールが困難である上に熱損失も大きく,「熱管理」という課題をクリアできなければ,実機として完成させることはできない.本研究では,機械工学や熱工学から使える技術を動員して,小型水蒸気改質器の実用化を一歩進めることを目的とする. 改質器の実用化において,水蒸気改質反応の吸熱と触媒燃焼による発熱のマッチングによる最適設計が欠かせない.そのためには,水蒸気改質反応と触媒燃焼の双方の反応速度に関する知見が必須である.触媒反応においては,触媒の材質はもちろん,その配置方法により反応速度が異なるために,ユニバーサルな反応速度というものは存在せず,よって簡便な実験により実用に近い条件で求めることが望ましいと考え,それぞれの反応に対してその導出の手法を確立を目指した.研究計画の段階では数値計算において,水蒸気改質側では実験より求めた反応速度を,触媒燃焼側では素反応計算をする予定であったが,反応機構が大きく異なり同じコード上で並行して計算することは困難であるため,触媒燃焼側においても実験により触媒単位量当たりの反応速度を求めることとした.なお,触媒燃焼の触媒は流路に充填する形式ではなく,壁面担持することを想定しているため,流速によるその律速の過程を明らかにした.さらに,一次元計算を行う場合においては,反応速度を流速の関数として表現し用いることができるように整理した.
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