研究課題/領域番号 |
23760193
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
横森 剛 慶應義塾大学, 理工学部, 講師 (90453539)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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キーワード | 二次元温度測定 / 蛍光 / 高温ガス温度測定 / 蛍光体微粒子 / PIV / 温度速度同時測定 |
研究概要 |
本研究は、蛍光物質からの蛍光発光特性が温度に強い依存性を示すことを利用し,蛍光微粒子を燃焼ガスのような高温ガス流中に散布,励起光を二次元シート状に照射してそこからの蛍光発光を観測することにより空間温度分布測定を行い,さらに微粒子からの散乱光を利用したPIVによる速度測定を行うことで,非接触な二次元温度・速度同時測定法を実現することを目的としている.本年度は,特に微粒子からの蛍光発光を利用した高温ガス流中の二次元温度測定に注力し,そのシステムの開発及び測定法の妥当性について検討を実施した.なお,今回利用する蛍光発光の温度依存性には,二次元測定が容易であると考えられる二波長強度比を採用した.まず第一に,高温状態でも良好な蛍光発光の温度依存性を示す蛍光微粒子の開発を目的として,種々の蛍光微粒子について合成し,その発光温度依存性(二波長強度比)の測定試験を行った結果,常温から1200K以上の高温範囲まで十分に温度測定が可能となる新たな希土類酸化物型蛍光微粒子(Y2O3:Dy,Tm)の創製に成功した.次に,実際に高温ガス流中での温度測定試験を行うための装置として,励起光(紫外レーザー)光学系,微粒子添加装置,高温ガス噴流装置,二波長強度比を比較するためのステレオスコープ型受光カメラ光学系を構築した.これら測定試験装置を用いて実際の高温ガス噴流中の温度測定を行った結果,常温から1000K以上の各ガス噴流場において,良好な二次元温度分布を取得可能であることが確認された.また,微細熱電対を用いたガス噴流の直接接触温度測定による温度分布と比較したところ,現状では測定温度精度に誤差が生じてしまうことも明らかとなった.この点については,受光カメラ光学系の改善等が必要であると予測され,次年度の課題の一つとして取り組む予定である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究計画に記した平成23年度実施項目である「高温測定用蛍光体微粒子の設計・開発、最適種の選定」については,高温域まで良好な蛍光温度依存性を有する新規な蛍光体微粒子の開発に成功したことより達成されたと言える.また,既に高温ガス噴流場での二次元温度測定も実施し,その測定法の妥当性までは確認できていることから,本研究は当初の予定通り概ね順調に進展していると考えられる.
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今後の研究の推進方策 |
当初の計画通り,まず,本研究で構築したシステムによる高温ガス流中での二次元温度測定の実施・詳細な検証を行い,そのシステム中のカメラ受光系等の改善による温度測定精度向上を図る.その後,PIVによる速度計測システムを試験装置に組み込むことで,温度・速度二次元分布同時測定について実施・検証を行う.
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次年度の研究費の使用計画 |
受光カメラ系の改善用光学系部品の購入,蛍光微粒子合成用試薬,PIVシステム(現有)導入のための装置改良,成果発表のための旅費,研究協力者への謝金等に使用予定.なお,23年度の未使用額3,890円は小額であったことから,24年度の上記物品購入に組み込むこととした.
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