研究課題/領域番号 |
23760201
|
研究機関 | 東京農工大学 |
研究代表者 |
林 隆三 東京農工大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (80505868)
|
キーワード | 交通機械制御 / 自動車 / 予防安全 / 障害物回避 / 自動運転 |
研究概要 |
本年度はまず,昨年度,回避軌道の追従精度の向上を目指して提案した目標操舵角の補正手法について,有効性検証のための実証実験を行った.その結果,提案した手法を用いた場合,従来手法よりも正確に目標軌道に追従することが可能であった.これにより,自動操舵回避の可否の判断精度が向上するため,より厳しい環境下でも,判断を誤ることなく無事に自動回避を行うことができるようになった.提案した自動操舵回避システムの適用範囲が広がり,事故防止効果が高まったといえる. 次に,従来手法における別の課題である「障害物(歩行者)の加速や減速などの挙動変化に対応できない」という問題を解決すべく,回避途中状態(自車が道路に対して並行に向いておらず,すでに旋回運動に入っている状態)から,障害物を回避するような補正軌道を導出する計算式を定式化した.さらに,この計算式を用いて,障害物の位置の変化から障害物の速度を算出し,障害物の位置と速度から自車との衝突位置を予測し,この位置の障害物を回避できるような回避軌道を常に更新し続けるような自動回避の操舵角制御アルゴリズムを提案した.そして,構築したアルゴリズムを用い,回避途中で挙動が変化するような障害物に対する自動操舵回避の数値シミュレーションを行った結果,提案するアルゴリズムにより歩行者の挙動変化に対応して回避軌道を補正し,障害物と接触することなく自動回避を行うことが可能であることが明らかになり,実験車両を用いた実証実験でも,挙動の変化する障害物との事故回避が実現できることが示された.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画では,本年度,カーブなどの直線道路以外の形状の道路上における操舵回避の適用法の検討を行う予定であったが,実験場の都合などから予定を変更し,次年度行う予定であった回避軌道の逐次補正法の検討を行った.3年間で予定している3つの課題はどれも同程度の難易度の問題であり,また,根本的な問題としては独立の課題であるので,研究全体の達成に影響はないと考えている.
|
今後の研究の推進方策 |
最終年度である来年度は,上記で示した予定の変更に伴い,当初は本年度行う予定であった,カーブなどの直線道路以外の形状の道路上における操舵回避の適用法の検討を行う.方針は交付申請書の通りであり,道路境界曲線の特徴点を抽出し,そこを中心とする円に接するような回避軌道を導出するという方法を検討する.また,数値シミュレーションと実車実験により有効性・妥当性を実証する.
|
次年度の研究費の使用計画 |
本年度,数値シミュレーション用のソフトウェアとして,マルチボディダイナミクスソフトウェア(CarSim ver.8)を購入予定であったが,計画変更に伴い,本年度も,自作のシミュレーションプログラムによりシミュレーションを行うことが可能であったため,購入を見送った.次年度の研究は,3年間の研究の総まとめとなるので,より精緻なシミュレーションを行うため,CarSim ver8を購入する.
|