研究課題/領域番号 |
23760205
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研究機関 | 山梨大学 |
研究代表者 |
野田 善之 山梨大学, 医学工学総合研究部, 准教授 (60426492)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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キーワード | 制御応用 / 数理モデル解析 / 鋳造設備 / 自動注湯ロボット / 注湯流量制御 / 落下位置制御 |
研究概要 |
平成23年度は、本研究課題である注湯プロセスの数理解析とシステム統合に基づく高精度自動注湯制御システムの開発を目的に、注湯流量推定システムと流量制御システムの開発、および取鍋から流出する液体の落下位置制御システムの開発を行った。注湯流量推定では、Unscentedカルマンフィルタによる注湯流量推定システムを構築し、高精度な流量推定を可能にすることを示した。また、自動注湯ロボットの数理モデルをモータモデルと注湯プロセスモデルに分離し、それぞれに拡張カルマンフィルタを適用することで、推定アルゴリズムの実時間計算を簡便にした注湯流量推定を実現した。そして、推定された注湯流量を基に、Differential Flatnessに基づいた注湯流量制御システムを開発した。出湯開始角度のずれや取鍋にノロが付着した場合などの外乱が生じている場合にも高精度に注湯できることを示した。本研究によって、自動注湯ロボットの注湯流量推定および注湯流量フィードバック制御が初めて実現され、その有用性が実験により示された。流出液体の落下位置制御については、まず、取鍋を傾動させるモータへの指令電圧から、取鍋から流出する液体の落下軌跡までの数理モデルを導出した。注湯流量から平均流速を求め、平均流速から落下軌跡を自由落下問題より導出した。そして、注湯流量制御を基に、流出液体の落下位置を実時間推定し、所望の位置へ流出液体を注ぐように取鍋が前後方向へ位置制御される落下位置制御システムを構築した。実験結果より、注湯流量の変化や取鍋上下方向位置が変化しても高精度に所望の位置へ注湯できることを示した。上述のように、研究実施計画どおりに研究を進めており、鋳造設備業界に貢献する研究成果を生み出している。平成24年度では、鋳型内湯口の液面レベル制御の開発を行い、全ての制御システムを統合した注湯制御システムの有用性を実験検証する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究実施計画では、平成23年度には「注湯流量推定と制御システムの開発」、および「流出液体の落下位置制御システムの開発」を計画しており、計画していた制御手法で実現でき、予定どおりに研究を進めることができた。
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今後の研究の推進方策 |
研究実施計画通りに研究を進める予定である。しかし、2011年12月に所属を異動したため、実験設備の整備に時間を要する可能性がある。前所属先での実験装置を利用することで予定通りに研究を進める。
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次年度の研究費の使用計画 |
2011年12月に所属を異動したため、実験設備の整備に時間を要する可能性があり、研究計画通りに研究を遂行する上で、前所属先での実験装置を利用することとする。その研究調査旅費が必要となる。そこで、当初予定の実験補助費用180千円を研究調査旅費に充てる。当初予定の実験データの整理などの実験補助作業は代表者自らが行う。
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