研究課題/領域番号 |
23760206
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
山田 啓介 京都大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (80456798)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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キーワード | 圧電素子 / 吸音 / 垂直入射吸音率 / 共鳴音 |
研究概要 |
1 LR直列回路を用いた受動型圧電吸音板の理論解析と最適設計 一次元音響管に圧電吸音板を設置した場合の垂直入射吸音率を理論的に求め,特定の周波数で吸音率を1にする平板と回路の調整条件と,圧電吸音板が吸収する音のエネルギーを最大化する平板と回路の調整条件を理論的に導出した.また,これらの両方を満たす条件も求めた.両方を満たす場合,吸音率がほぼ1になる周波数の範囲が広くなり,ロバスト性が高い吸音板となる.また,後述の実験で平板の減衰と圧電素子の誘電正接が無視できないことが分かったため,これらを考慮した場合の最適調整条件も求めた.数値計算で理論解析の妥当性を確認した.2 LR直列回路を用いた受動型圧電吸音板の実験 一次元音響管と圧電吸音板を作製し,2マイクロホン法で垂直入射吸音率を測定した.背後空気層の空気ばねの影響も含めた状態で平板の固有振動数が約110Hzの場合に,約100~120Hzの範囲で吸音率が1に近い値となった.理論解析の妥当性が確認できると同時に,圧電吸音板の有効性も確認できた.3 音響管の共鳴音の低減 吸音率には圧電吸音板とその背後空気層が影響し,平板の前方の音場は影響しないが,車室内の共鳴音の低減等を想定して,音響管内の共鳴音を圧電素子を貼付した平板で低減する研究も行った.この場合,音場の一つの音響モード,平板の一つの振動モード,回路の電気共振が関係するため,支配方程式は三自由度となる.この場合の平板と回路の最適調整条件を,近似を用いて理論的に導出した.数値計算と実験を行って,理論解析の妥当性と提案手法の有効性を確認した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
研究は順調に進んでいる.音場の共鳴音の低減についても,理論解析・数値計算・実験を行うことができたことと,次年度に予定していた低周波音での実験を行うことができたため,(1)を選択した.
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今後の研究の推進方策 |
受動型圧電吸音板の有効性は確認できた.今後は吸音率の高い周波数の範囲を広げる必要がある.そこで,当初の計画通り,スペーサを用いて圧電素子の等価剛性比を高める手法,電気的に負剛性を付加する手法,平板の振動変位信号を用いたハイブリッドな手法との組合せにより,吸音率を高める方法を検討する.
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次年度の研究費の使用計画 |
研究費は主に,圧電素子,接着剤,平板,電子部品等の消耗品,国内外の学会や研究会に参加するための旅費と参加登録費に使用する予定である.次年度は実験が多くなると予想されるため,マイクロホンや加速度計等のセンサ類も不足分を購入する予定である.
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