1 電気的に負剛性を付加する手法との組合せ 圧電素子に負性容量を接続することによって圧電素子を負剛性として機能させる方法を検討した.当初は圧電素子の等価剛性比を高めることを目的として負剛性を付加することを考えたが,本手法で圧電吸音板の背後空気の空気ばねの効果を相殺できることが分かり,こちらの効果の方が重要であったため,目的を変更して研究を進めた.圧電素子に負性容量を接続することで,負剛性だけでなく減衰効果も得られることが分かっていたため,平板に付加する負剛性と減衰比の最適調整の条件式を解析的に導出した.シミュレーションと実験で提案手法の有効性を検証した.本実験では,圧電素子を用いて背後空気を6割削減できる効果が得られた. 2 平板の振動変位信号を用いたハイブリッドな手法との組合せの検討 受動型の圧電吸音板では圧電素子の等価剛性比が小さいことが原因で,広い周波数領域で高い吸音率を得ることができなかったため,研究代表者らが圧電素子を用いた振動制御の研究で提案した,平板の振動変位信号を用いたハイブリッドな手法の適用を検討した.本手法を用いて圧電素子の等価剛性比を等価的に高める場合について,解析的にLR回路の最適値を求めた.実験では,圧電素子の等価剛性比を約10倍まで高める調整を行い,その場合に約90~130Hzの範囲で高い吸音率が得られた.受動型の場合は約100~120Hz範囲で高い吸音率が得られたため,提案手法により,高い吸音率の得られる周波数の範囲が倍となった.
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