研究課題/領域番号 |
23760210
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研究機関 | 九州産業大学 |
研究代表者 |
中原 健志 九州産業大学, 工学部, 准教授 (00334516)
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キーワード | モード制御 / ゲイン適応 / D級増幅器 / モデル予測制御 |
研究概要 |
1.ゲイン適応形モード制御器のメカニズムに関する理解の整理 平成23年度に投稿した11th International Conference on Motion and Vibration Control (MOVIC2012)への講演論文に対する査読意見を考慮して、本年度に最終的な投稿原稿を作成する過程においてゲイン適応メカニズムに関する理解を整理することができた。 2.モデル予測制御の適用の検討 本研究課題の1つのポイントである制約状況の考慮においてモデル予測制御が有効であることを知ってはいたが、計算負荷が大きいためサンプリング周期の短い振動制御への適用は容易でないという印象があり、これまでは検討の中心としてこなかった。しかし、上述のMOVIC2012と合同開催されたアメリカ機械学会のDynamic Systems and Control Conference (DSCC2012) でモデル予測制御の著名な研究者であるManfred Morari博士による特別講演があり、近年のプロセッサの性能向上と計算アルゴリズムの高速化により、モデル予測制御がプラント制御のような遅いダイナミクスの問題だけでなく、運動や振動の制御といった速いダイナミクスの問題にも十分に適用できる段階にあることを知ることができた。これを踏まえて帰国後にモデル予測制御に関する学習と文献調査を深めるとともに、1自由度系を対象とした数値シミュレーションによりモデル予測制御が本研究課題にとって見込みのある手法となることを確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究課題に対するモデル予測制御の可能性に気付き、研究の新たな展開の糸口をつかむことができたことは極めて大きな進歩といえる。しかし、現時点でのモデル予測制御の適用の検討は1自由度モデルの数値シミュレーションという初歩段階であり、一般的な多自由度系への拡張など本格的な適用の検討はこれからであること、実験によるD級増幅器の損失モデル作成および制御器の有効性の検証が進んでいないことを考慮し、総合的には(3)と判定した。
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今後の研究の推進方策 |
平成25年度は、一般的な多自由度系への拡張などモデル予測制御の本課題への本格的な適用を進め、数値シミュレーションにより検討を行う。さらに平成23年度に製作した実験装置に組み込んで、ゲイン適応型モード制御器との比較も含めて実験を行い有効性を検証する。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成24年度は当初の計画以上に積極的に研究成果の発信を行ったため、旅費および学会等の参加費が計画より多くなったが、実験を十分に実施できなかったために実験費用が少なくなり、全体としては若干の研究費が残り次年度使用となった。次年度使用となった研究費は平成25年度に請求予定の研究費と合わせて、D級増幅器の試作および制御器の有効性を検証する実験のための費用を中心に活用する計画である。
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