研究課題/領域番号 |
23760214
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
安孫子 聡子 東北大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (40560660)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | ハイブリッドシミュレーション / 接触力学 |
研究概要 |
本研究の目的は,軌道上無人輸送機のドッキングや構造物組立等の軌道上サービスを対象とした微小重力下での浮遊物体同士の必然的な衝撃,および偶発的な衝突の際の安全性を考慮した自律ドッキング制御の確立を行うことである.同研究の検証には地上微小重力模擬環境であるハイブリッドシミュレータと空気浮上テストベッドを用いる.平成23年度は,当初の予定の通り,計算コストの少ない柔軟物の接触力学モデルを構築を目指し,空気浮上テストベッドによるスネアワイヤと浮遊物体の接触特性に関しての検証を行った.スネアワイヤとは宇宙ロボットアームに標準的に搭載されるエンドエフェクタの把持機構であり,同機構がモデル化が難しい柔軟性を有するため,衝突後の運動予測等を行うことが困難とされてきた.特に,スネアワイヤは微小にたるんだ状態で対象物と接触を開始するため,その特性をモデル化することが,衝突後の運動予測に不可欠である.空気浮上テストベッドでは,剛体の接触力学モデルを基に,ワイヤのひずみ量をめり込み量と仮定し,その特性とキーパラメータの推定を行った.同実験より,任意のワイヤとの接触特性のモデル化が概ね可能であることが分かった.今後はその一般性に関して詳細に検証し,モデル化の精度を向上させる予定である.また,一方で,ハイブリッドシミュレータの構築を進めた.ハイブリッドシミュレータでは,軌道上宇宙ロボットアームSSRMSによる無人宇宙ステーション補給機HTVの捕獲を対象として,スケールダウンした模擬スネアワイヤ型エンドエフェクタの制作,動力学シミュレータおよび運動提示用ロボットシステムの構築を進めた.概ね統合的システムとして完成したが,不具合も現在検出されているので,その解決を早急に進める予定である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
上記研究実績に記載した通り,ハイブリッドシミュレータの構築にて,いくつかの不具合が見つかっているため,その原因追究および改良のために当初予定の計画よりもやや遅れている.
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今後の研究の推進方策 |
本報告書提出現在において,ハイブリッドシミュレータの不具合の原因がほぼ確定されているので,今後は問題解決に努め,速やかに予定している研究に進むつもりである.また,研究協力者であるJAXAロボティクスグループよりHTV捕獲のフライトデータを提供していただいている.今後は,同フライトデータによる実軌道上での運動解析とともに,ハイブリッドシミュレータにて同様のタスク模擬を実行し,将来の安全自律ドッキングへとつながる基盤手法を提案する.
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度使用費は,今年度のハイブリッドシミュレータにおけるドッキング機構が完了していないために生じたものであり,同機構開発に必要な経費として,平成23年度請求額と合わせて使用する予定である.
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