研究課題/領域番号 |
23760216
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
湧田 雄基 東京大学, 大学院情報学環, 特任助教 (00377847)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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キーワード | 概念獲得 / オントロジ / シーンアナリシス / 人工知能 / 因果律獲得 / コンピュータビジョン / ロボット |
研究概要 |
本年度の成果は、次のとおりである。「特徴量算出手法の設計と実装」、「Cognitive Ontology (CO)の構築のための構造化尤度計算手法の設計」、「クラウドソーシング環境の構築」である。特徴量算出手法の設計と実装は、MathWorks社のMATLAB上で検討および実装を行った。システムに入力した画像パタンに対し、SURF特徴量を抽出することで多次元の特徴空間上に特徴ベクトルを取得する処理を実装した。また、Cognitive Ontology (CO)の構築のための構造化尤度計算手法として、上記取得したクラス間の関係に対して、クラウドソーシングを行った際の応答を模擬した教師データをマニュアルで入力することで、SVMを用いたクラスタリングを行うモジュールを実装した。SVMで得られる構造に基づき得られるクラスについて、他のクラスとの距離(特徴空間上のユークリッド距離)を算出し、その距離およびクラス中の概念点の分散値による統計的評価指標によりCOの構造化尤度値の算出を行うモジュールを実装した。また、AmazonのクラウドサービスであるMechanical Turk (MTurk)を利用するための、"TurKIT"のAPIを利用できるネットワークインタフェースおよびサーバ環境を構築した。その上で、MTurkに送るためのクエリ仕様の策定を行い、クエリサンプルを自動的に作成するスクリプトを実装した。クラウドソーシング問い合わせを行うクエリには、概念クラスタの中心パタン画像、概念クラスタの実環境におけるサイズ、概念クラスタ感の関係を記述したタグにより構成した。以上の成果により、本研究に必要な基盤となるクラウドソーシングインタフェースサーバおよび、入力画像データ処理エンジンを構築した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究は、次の研究課題1~4に分割し推進する実施計画を立てている。「研究課題1Cognitive Ontology (CO)構造尤度計算手法の設計」、「研究課題2クラウドソーシングインタフェースサーバの構築」、「研究課題3統計的学習によるCognitive Ontologyの構造化と記号接地」及び「研究課題4クラウドソーシング型機械学習による高効率な概念獲得アルゴリズムの設計」である。その内、研究課題1および2についての設計と実装はおおむね完了しており、動作試験も行っている。ただし、研究課題1の尤度計算手法については、より安定した結果を実現するために、大規模な概念構造データに対応した統計的評価を行うアルゴリズムを実装することが望まれ、次年度にて改良を加える予定である。従って、達成度の自己評価としては、「(2)おおむね順調に進展している」とした。
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今後の研究の推進方策 |
次年度では、「研究課題3統計的学習によるCognitive Ontology (CO)の構造化と記号接地」及び「研究課題4クラウドソーシング型機械学習による高効率な概念獲得アルゴリズムの設計」について研究を進める。また、研究課題1~4の成果を統合したシステムにより、実際のデータを用いた実験を行い、実験結果の分析を通じてCO構築に係る知見を得る。また、国際会議等において研究成果の発表を積極的に行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度では、物品費として、データベース管理用ストレージ(約15万円)、データベースサーバ構築費用(約20万円)、ロボット制御用システムの構築費用(約20万円)や、実験を行うためのロボット構築のための筐体等製作費用約20万及び消耗品購入費約20万円、また、研究推進に必要なクラウドソーシングサーバ利用費用として約10万円、ネットワーク環境構築に約15万円の使用を計画している。また、学会発表および論文出版に約40万円を予定している。その他消耗品等の費用として約10万円の使用を予定している。
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