本研究の目的は,ロボットによる実環境の映像シーン解釈機能を実現することである.具体的な研究課題は,申請者がこれまでに実施している「ロボットによる実環境イベント認識のための概念構造」の構築の際に,教師なし学習のみでは課題となっていた概念クラスタリングのための最適化を効率良く行うことである.その際に,教示情報をロボットの外部のネットワークを介した情報源から参照しながら機械学習を行う.本研究では,この教師有り学習の部分を,いわゆるクラウドソーシング(Crowdsourcing)方式により実装し,他の一般の教示学習に比べて高速に実環境イベント解釈の概念構造の構築を実現することを狙った.本研究の実績は,上述のシステムの設計及び実装により目的のシステムを構築したことである.また,実装したシステムの評価を通じて,当該研究に係る知見を得た.特徴量算出手法の設計と実装は,MathWorks社のMATLAB上で検討および実装を行った.システムに入力したデータに対し,SURF特徴量を抽出することで多次元の特徴空間上に特徴ベクトルを取得する処理を実装した.また,COの構築のための構造化尤度計算手法として,上記取得したデータ間の関係に対して,クラウドソーシングを行った際の応答を参照し,教師データとして機械学習(SVM)を実行し,モデル再構築を行うモジュールを作成した.SVMへの入力ベクトルによって張られる特長空間上での入力データ間の距離(特徴空間上のユークリッド距離)を算出し,その距離およびクラス中の概念点の分散値による統計的評価指標によりCOの構造化尤度値の見積もりを行うよう実装した.以上により,実験を通じた評価を行った.
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