研究概要 |
走行不能状態の数値化を行う上で, 1) 触角情報の獲得 2)沈下量測定 3) スリップ率の任意設定及び受動モードでの計測手法 4)トルク測定を行えるコントローラの開発 が必要となる. 本研究では, 一輪のみで走行できる一輪走行試験機を用いて, 触角情報を得られる車輪を利用し, 触角情報から得られる沈下量を推定することを行った。このとき、スリップ率は1.0として滑りやすい状態としている. この結果からモータのエンコーダ情報及び触角情報より沈下量を推定することを可能とした. 推定するに至って, 実際に沈下量と比較するため試験機の上部センサ取り付け部と車輪ステイ部に超音波センサを取りつけ詳細な沈下量の測定を行い, 比較を行った. 比較から±1.0%以内で推定できていることがわかった. 一方, 剛体車輪を用いて任意でスリップ率を変化させ, その時の駆動力を測定した. 駆動力をスリップ率ごとに測定することにより走行不能状態のトリガとなる部分を探る作業を行うこととなる. また, 測定と同時に, 地盤と車輪の相互作用をシミュレータにより駆動力予測行い, 0.8程度付近で大きな駆動力が発生してしまうことがわかった. これは測定結果とは逆に傾向を示しており, 現状で多くの研究者が用いている駆動力推定とは異なると言える. このような結果から0.8付近の駆動力, トルク値, 沈下量を"走行不能状態"となることが明確となってきた. これらのパラメータおよびシミュレータと実験結果の分岐点を持ちちいた新しいアリゴリズムを使い, 移動ロボットに搭載し, 新しい経路設定の提案を行う.
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今後の研究の推進方策 |
今後は, 移動ローバ(4輪)に各センサ(GPS, LRF, カメラ, 触角車輪等)を搭載させ, システム構築を行った後, フィールド実験を行っていく. 各センサの取り扱いを独自な方法で進めていくのではなく, OpenRTMなどのミドルウェアを使用して簡単にシステム化できるコンポーネントを利用していく. 最終的にはフィールド実験において新しい経路設定の提案及び走行実験にて確認を行う.
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次年度の研究費の使用計画 |
本研究にて購入予定であった3DプリンタとLRFの購入を後回しにしたことにより未使用額が発生した. これは, 触角車輪を用いた一輪試験の結果に新しい結果を得られたために, 重点的に行う割合をシフトさせたためである. そこで本年度は, 必要とするセンサ類やローバのメカニカル部分に外注, 工作機械, 材料品に使用していく予定である.
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