研究課題/領域番号 |
23760230
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
浦久保 孝光 神戸大学, その他の研究科, 助教 (10335424)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | ロボティクス / 機械力学 |
研究概要 |
2011年度は,多リンクロボットの特異姿勢付近での動力学特性を調べるため,2リンクロボットアームおよび4リンク脚型ロボットを対象として研究を進めた.2リンクロボットアームについては,重量物の持ち上げ動作において,特異姿勢を用いることで必要トルクを小さく抑えることができる.必要トルクを最小化する動作を,従来とは異なる最適化手法を用いて計算し,より厳密な最適動作を求めた.これにより特異姿勢の有用性を再確認するとともに,その動力学的効果の大きさについて定量的な知見を得た.さらに,得られた最適動作を実機検証するために,2リンクロボットアーム実験機の設計および開発を行った.4リンク脚型ロボットについては,その跳躍動作において,特異姿勢を用いることで同様な省トルク効果が得られることを数値シミュレーションで確認した.2リンクアームの場合と同様な最適化計算の結果,最適跳躍動作においては,着地期の最終時刻付近(足先が地面を離れる直前)で脚がほぼ特異姿勢となっており,特異姿勢を用いない場合の動作に比べて大幅な省トルクを達成している.これは,持ち上げのような引っ張り(収縮)動作のみならず,押し出し(伸展)動作においても,その作業動作達成に有用な特異姿勢の動力学特性が期待できることを示唆する結果である.2リンクロボットアーム実験機の製作にあたっては,豊橋技術科学大学真下智昭助教の協力のもと進め,製作打ち合わせのため,二度の豊橋技術科学大学への出張を行った.また,特異姿勢付近での非線形な動力学特性の解析方法について意見交換を行うための国内会議への参加を行った.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
数値シミュレーションによる特異姿勢の動力学特性の解明については,扱う対象ロボットの順番変更を行ったが,順調に研究は進展している.実験機による実機検証については,2リンクロボットアーム実験機の製作が一旦完了した段階で,使用モータが故障するというトラブルに見舞われ,モータ修理の可否確認,代替モータの手配に時間がかかり,実験機が動作可能な状態となるのが2011年度末となった.このため,年度内の実機検証ができず研究の遅れが生じている.
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今後の研究の推進方策 |
上述のモータ故障によるトラブルのため,2011年度は2リンクロボットアームによる持ち上げ動作実験を完了できておらず,学会等での発表にも至っていない.まずは,この実験を完了させ,2リンクアームを持つモバイルマニピュレータにおける特異姿勢の動力学的効果の解明へと研究を進める.モデル構築や数値シミュレーションに比較的時間のかかる脚型ロボットの跳躍動作については,当初計画より先に2011年度に研究を進展させているため,2リンクアーム実験の遅れを十分に取り戻すことができる.また,これらの研究進展結果を国内外の学会等で発表し,積極的な意見交換を行い,研究の進展に結び付ける.
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次年度の研究費の使用計画 |
持ち上げ動作実験に使用する2リンクロボットアームの製作が遅れた結果として,このアームを流用予定であった2リンクアームを持つモバイルマニピュレータの実験機製作が未着手となっている.このため,「次年度使用額」として2012年度に一部の研究費を使うことで,この製作を進める.また,2012年度は,海外共同研究者であるカーネギーメロン大学金出武雄教授を訪問し,2011年度の研究成果および今後の研究進展について議論する計画である.
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