研究課題/領域番号 |
23760231
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
高木 健 広島大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (80452605)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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キーワード | モアレ縞 |
研究概要 |
本研究課題にて開発したモアレ縞を用いたひずみ可視化シートは4層から構成されており,下から順に拡散反射層,固定モアレスリット層,油膜層,可動モアレスリット層からなる.それぞれの層の目標厚みを20μm,180μm,10μm,180μm以下としており,この厚みをすべてにおいてほぼ達成することができた.また,拡散反射層はアクリル系塗料を用いて製作した. 固定・可動モアレスリット層の基材には温度および湿度による伸縮率を考慮してポリエステルを用いた.また,それぞれの伸縮率は0.001%,0.0015%である.モアレスリットを構成する薄膜には銀塩ゼラチン乳剤を用い,スリットのピッチを100μmで製作した.また, モアレ縞を分割することにより省スペースのシートに大拡大率のモアレ縞を実装した. 一方で,実験装置の改良を行った.サブマイクロステージを用いることにより500nmの精度で本シートに変位を生じさせることを実現した.レーザー変位計にて変位を1000 Hz以上で変位を計測できるようにするとともに,メガピクセルのCMOSカメラで本シートを撮影できる環境を構築した.また,これらの要素は1台のコンピュータにてすべて制御することができる. 実験により,開発したシールとフラットバーを用いることにより,10μ程度の精度でひずみを計測できることを確認した.また,大まかな100μ程度のひずみにおいては文字にてひずみの大きさを提示できることを確認した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究の進捗状況は上記「研究実績の概要」にて述べた通りである.申請時の予算額より少なくなったため,申請時においてはナノサーボステージを用いて研究を進める予定であったが,サブマイクロステージにて研究をしているため,検証できる値が目標としていた値より若干劣っている.しかし,開発したシートの当初の目的であるひずみを可視化することについては成功しているため,おおむね順調に進展していると言える.
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今後の研究の推進方策 |
これまでに開発した環境を用いて,製作したシートの周波数応答を実験的に求める.動ひずみを計測する場合,拡散反射層が剥離しないかを検証し,剥離が生じた場合,どの程度で剥離するかを検証し,他の塗料も検討する.計測対象と本シートは従来のひずみゲージと同様に接着剤にて固定するが,動的な場合でも十分に固定できているかを検証する.できていない場合は,固定部の形状や補強方法を検討する.配線レスの利点を生かし,回転対象のひずみを計測する.投げられた対象が衝突する前後の歪みをトリガー機能を用いて計測する.建造物のモニタリングを想定し配線することなく25m離れた対象を望遠レンズを用いて計測する.配線することなく100m離れた対象のひずみを望遠レンズとテレコンバータを用いて計測する.このとき画像が鮮明ではなく,暗くなる問題が生じると考える.動特性は低下するが,露光時間の調整,複数枚撮影した画像を用いての処理などを用い,遠隔計測の限界を検証する.
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次年度の研究費の使用計画 |
遠隔での実験が主となるため,それに必要な機材を購入する予定であり,基本的には消耗品となる.また,国際会議で発表する予定があり,その旅費が必要である.また,特に申請時から変更はない.
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