研究課題/領域番号 |
23760234
|
研究機関 | 東北学院大学 |
研究代表者 |
熊谷 正朗 東北学院大学, 工学部, 准教授 (70323045)
|
研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2013-03-31
|
キーワード | 球面モータ / 誘導モータ / 球面誘導モータ / 平面誘導モータ / ベクトル制御 / 光学マウスセンサ / 3自由度モータ / 電機子 |
研究概要 |
本年度は基礎開発段階として大きく二つの成果を得た。一つは制御手法や技術の検証のために先行モデルとして開発を行った平面誘導モータである。これはリニア誘導モータの電機子を3個と光学マウス用センサを3個用いて、鉄板と銅板を重ねたリアクションプレート上を動くものであって、平行移動と旋回の合計3自由度の推力・トルクの発生、および、位置計測のフィードバックによる位置制御(含む移動目標トラッキング)を可能とした。その応答性や制御性を実システムで検証するために、レーザレンジファインダと組み合わせた移動体や倒立振子、物品搬送システムなどの試作も行った。あくまで基礎データを得るための先行開発品であるが、平面誘導モータそのものとしても発表例の少ない、動的応答を可能としたものとなり、最大出力で70N, 9Nm, 推力応答速度10msを達成した。二つ目は本来の球面モータに関する試作である。最大の課題は、リアクションプレートに相当する球体である。これは北嶋絞製作所様のご協力により、電気的・磁気的に均質な鋼と銅板の2層構造の球殻を実現した。この球に進行磁界を発生させるための電機子は当然球面にフィットする形状のものを開発する必要があった。これについては、5種類の円弧状の部材を電磁鋼板からレーザ加工で切り出し、それを積層することで、球面との距離のばらつきが±0.3mmに収まる、球面上のコアを製作した。これに、平面モータの開発で蓄積のある手法でコイルを巻いて取り付け、電機子とした。これら球殻と電機子を用いて試運転をして表面での推力に換算して30N程度、また1m/s以上の速度に短時間に加速できることを確認した。目標とする球面モータとすべく、コイルの3次元配置までを検証し、詳細設計に入っている。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
概ね順調に進展しており、球面モータの達成には問題がないと考えている。ただ、現時点で、1自由度の球面モータであり、当初の予定の3自由度分は設計開発が完了していない。1,2ヶ月以内には実用的な球面モータができると考えている。具体的な遅れの理由としては、平面誘導モータの実証ケースに力を入れすぎたこと、本来、仕上げをする予定の2,3月の段階で予想を上回る大学業務(卒業生の指導など)があったこと、球面の試作に想定よりも予算を要したことでその他部品の調達に多少の支障がでたこと、が上げられる。
|
今後の研究の推進方策 |
すでに詳細設計に入っている球面モータの完成を急ぐと共に、その性能評価を行う。現時点での目安として、表面の推力に換算して50Nは無理せず得られるとみている。あわせて、これを用いた倒立振子制御、さらには座部の設計開発を行い、車いす型の乗機が実用的に実現できるかどうかの評価を行う。
|
次年度の研究費の使用計画 |
8163円の残金が生じているが、これはそのまま次年度の各種機械・電子部品等の購入に当てる。球面の試作に当初の予定より多めに予算を要した結果、残金を考慮して開発の一部を中断し、予算の使用を保留した事による残金である。次年度に有効活用するため、無駄な使い切りをしなかった結果と理解頂きたい。次年度は当初の計画にあるとおり、試作を進めると共に、夏期に共同研究先のカーネギーメロン大学のホリス教授のもとに試作品と共に訪問し、研究の方針の調整などを行う。そのため、当初計画の通り、旅費の支出を予定している。
|