超精密で特殊な加工技術によって作製された小孔や小管は、環境・エネルギー分野から航空宇宙・自動車産業そして建築や土木に至るまで普及され、その応用は様々な分野へ展開されている。これらにわずかな欠陥が生じたとき、危機的な事態を引き起こす恐れがあることは周知の事実である。非接触で高速かつ高精度に内面形状計測する手法の開発は、近年の科学技術の発展において急務といえる。このような背景から本研究では小型で高精度の内面形状計測用の多次元プローブカメラの開発を行っている。 平成25年度は直径5mmの三次元内視鏡を施策し、自動車の直径20mmのピストンピン孔の評価を行った。これは国際光工学会(SPIE)のフォトニクス・エイシア(Photonics Asia)において招待講演および招待講演論文として研究成果を発表した。 さらに内面形状の計測感度をナノメートルオーダにまで高めるために、共焦点型の内面形状計測法の研究開発を行った。この際、円錐ミラーと可変焦点レンズの組み合わせる光学系を提案した。ディスク状に広がるビームの焦点位置を可変焦点レンズに印可する電圧によって制御できる。この方法を使って内面形状を観察すると、特異な光強度変化が得られることを見出した。これを解析することで高精度に内面の三次元形状を計測することが可能となった。この解析手段は特願2013-026271として特許出願され、2013年精密工学会春季大会にて発表された。 また、キーデバイスとなる円錐ミラーをアクリル樹脂で自作する過程で、偏光状態が軸対称に変化することを見出した。これを多次元内視鏡の偏光分布計測に応用するべく基礎研究を行った。その結果、波長依存性のない軸対称偏光ビームを生成する光学素子を開発することに成功した。この成果は米国光学会OSAのJournal誌Optics Expressに掲載された。
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