研究課題/領域番号 |
23760242
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研究機関 | 東京電機大学 |
研究代表者 |
釜道 紀浩 東京電機大学, 未来科学部, 准教授 (70435642)
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キーワード | センサ / ソフトアクチュエータ / 機能性高分子 / 周波数特性 / イオン導電性高分子 |
研究概要 |
本研究では、イオン導電性高分子・貴金属接合体(Ionic polymer-metal composite: IPMC)と呼ばれる機能性高分子材料のセンサ機能に着目し、その応答モデルの構築とアクチュエータとセンサの両機能を統合した応用を目指している。本年度は、動作モデルの構築のため,動作環境の湿度や素子内のカウンターイオンを変化させた場合の特性の変動について検証を行った。また、曲げやねじりを含む3次元的な変形を測定するセンサシステムの基礎的検証を行った。具体的には、以下の通りである。 1. センサ応答特性の実験的検証: 動作環境の湿度の違いによる応答特性の違いや、高分子内のカウンターイオンの違いによるセンサ応答の違いについて検証を行った。昨年度構築した実験装置を用いて、それぞれの条件でのセンサ応答について周波数応答解析を行った。測定の結果、湿潤状態では,変形量と電荷移動量が比例し,カウンターイオンの種類が異なっていても値の大きさもほぼ一致する結果となった.一方,乾燥状態では,電荷応答のゲインはともに低下するが,イオン種により値が異なることを確認した.この実験結果をもとに、今後特性変化の要因の検証、動作モデルの構築を進める予定である。 2. アクチュエータ応答特性の実験的検証: アクチュエータの応答においても、動作環境の湿度により特性が大きく変化する。センサの場合と同様に、環境の湿度を変化させて特性変化の検証を行った。とくに、機械剛性と発生応力特性の変化について検証した。 3.曲げ・ねじりを計測するセンサシステムの基礎的検証: 1枚の素子において、曲げとねじりの情報を同時に測定するセンサシステムを構築するための基礎的検証を行った。表面電極部をパターニングしたIPMC素子を製作し、空間的に分離された電極部で測定した信号から、それぞれの変形時の応答の違いを検証した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
センサ、アクチュエータの両面において、条件を変えて応答特性を検証し、応答のモデル化のため有用な結果を得ることができた。また、センサ応用のための基礎的検証も進んだと考えている。しかしながら、センサ応答の理論解析、モデル化は計画よりも遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
次年度では、これまでの実験による測定結果に基づき、センサ応答の数学モデルの構築に取り組む。アクチュエータのモデリングで導入されている物理・化学的観点からのホワイトボックスモデリングの手法を元に、物理原理に基づくセンサモデルのシミュレータ環境を構築する。また、曲げやねじりなどを測定可能な面状センサ素子への適用や、センサ・アクチュエータを統合した制御系への適用など、応用の可能性について検証する。
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次年度の研究費の使用計画 |
主に、検証用素子の作成のための材料と計測用機器、また、成果発表のための旅費に使用する計画である。
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