研究概要 |
本研究の目的は,3次元2足受動歩行に,扁平足とバネ足関節および球面集部を導入し,その安定化原理を明らかにすることである. 本年度は,昨年度の目標であった,円弧踵部を持つ2次元歩行モデルによる安定解析について,本年度は円弧踵部を持つモデルによる2次元歩行のシミュレーションが困難であったため,円弧足と胴体を持つ2次元モデルに対してさまざまな歩行動作をシミュレーションにより実現し,その安定性について詳細に明らかにした.さらに,実験装置による歩行の実現可能性を高めるために幾何学的拘束制御手法を導入し,安定化領域が拡大されることを確認した.本結果から,さまざまな受動歩行を実現した後,幾何学的拘束制御を導入することで安定化領域が拡大できることが明らかとなり,今後実験によって歩行を実現するための有効な手法を得ることができた. また昨年度得た扁平足を持つ3次元受動歩行機の詳細な歩行データの解析結果に基づき,踵部を円形にした扁平足と直動膝関節を持つ3次元準受動歩行機を開発し,水平面上における歩行を実現した.円形踵部は,長方形を取る場合に比べ定常的な足部の着地が実現される.本結果は,今後,球面踵部を導入することの有効性を支持するものである.また,直動膝関節の振動によって歩行を励起する場合,その振幅と振動数を調整することが重要となる.振幅は昨年度までに得たバラストを用いた重心位置の調整に相当するため,今後,歩幅や接地時刻,圧力中心点などの情報をフィードバックし振幅を制御することで,より安定な歩行が得られるものと期待される. さらに,3次元受動歩行機の知見からプラスチック段ボールを用いた歩行機を試作し,受動歩行機を使った小学生から大学生までを対象とした工作教室もしくは講義を行い,広く社会に還元する試みを行った.
|