研究課題/領域番号 |
23760250
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
竹本 真紹 北海道大学, 情報科学研究科, 准教授 (80313336)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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キーワード | 電気機器工学 / 制御工学 / 磁気軸受 / 磁気浮上 / 磁気支持 |
研究概要 |
近年,省エネルギー・省資源対策などから,モータへの高効率化・高出力化の要望が年々高まっている。その解決策の一つがモータの高速化であり,モータを高速化する際に必要となるのが,組立性が良い小型の磁気軸受の開発である。そこで,研究代表者は,円筒形回転子を備えることで組立性を大きく向上し,そして,半径方向の2軸と軸方向の1軸をそれぞれ支持する2種類の磁気軸受を一体化することで大幅な小型化を実現する「円筒形回転子を備えた3軸能動制御型磁気軸受」を新たに提案している。これまでに,提案する磁気軸受の有効性を3D-FEA解析で確認した。そこで,本研究の目的は,提案する磁気軸受の試作機を実際に製作し,その有効性を実験により検証することである。 当該年度である平成23年度は,新たに提案する円筒形回転子を備えた3軸能動制御型磁気軸受とベアリングレスモータを組み合わせることで,2ユニット構成で5軸能動制御による完全非接触支持を実現できる試作機を設計・製作した。そして,既存のドライブシステムを用いて,低速における安定な軸支持運転を実現した。そして,製作した試作機を用いて,半径方向・軸方向の荷重試験を実施し,提案する磁気軸受が,(1)回転子主軸の総重量に対して,実用に耐えられるだけの十分な軸支持力を発生できる,(2)すべての電流条件において,半径方向と軸方向の軸支持力の間に干渉が発生せず,独立して制御可能である,という非常に優れた軸支持特性を備えていることを実験により検証した。なお,これらの研究を通じて得た研究成果を学会などで報告した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
交付申請書に記載した通り,当該年度である平成23年度の研究目標は,大きく分けて下記の二つである。一つ目は,新たに提案する円筒形回転子を備えた3軸能動制御型磁気軸受とベアリングレスモータを組み合わせることで,2ユニット構成で5軸能動制御による完全非接触支持を実現できる試作機を設計・製作すること,そして,二つ目は,製作した試作機を用いて,提案する磁気軸受が実用に耐えられるだけの十分な特性を備えてることを実験により確認することである。これらの研究目標は無事に当該年度中に達成することができたことから,当該研究課題は,おおむね順調に進展していると思われる。
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今後の研究の推進方策 |
交付申請書に記載したおとり,平成24年度は,提案する磁気軸受とベアリングレスモータの軸支持制御がお互いにリンクし,高速回転に対応可能な専用の高性能ドライブシステムを製作する予定である。そして,製作した試作機と組み合わせることで,10,000 r/min以上の高速回転での安定な軸支持運転を実現する。具体的には,まず,提案する磁気軸受のラジアル軸支持用2軸とスラスト軸支持用1軸の計3軸の軸支持制御を担当するコントロールシステム1と,ベアリングレスモータの電動機速度制御とラジアル軸支持用2軸の軸支持制御を担当するコントロールシステム2の計2つからなるデジタルコントロールシステムを構築する。さらに,高速回転での安定な軸支持運転を実現するには,高周波電流を高精度に電流制御できなければならないため,デジタルコントローラの遅れ要素なども正確に考慮することで,高周波電流を高精度に電流制御できる高性能ドライブシステムを開発する。そして,前年度に製作した試作機とこの高性能ドライブシステムを組み合わせることで,10,000 r/min以上の高速回転での安定な軸支持運転を実現する。なお、これらの研究を通じて得た研究成果を学会などで報告する予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
上記の「今後の研究の推進方策」の箇所に記載したように,平成24年度は,高周波電流を高精度に電流制御できる高性能ドライブシステムを開発するのに欠かせない物品を購入するために研究費を主に使用する予定である。加えて,これらの研究を通じて得た研究成果を海外の国際会議などで報告するための旅費として使用する予定である。 平成23年度において,実験を行う際に必要な治具などを製作するための実験費が当初予定していたより少なく抑えることができた。そこで,この未使用金額を平成24年度に製作する高性能ドライブシステムの製作費に充当する予定である。製作費を増やすことができれば,その分,性能を向上できるため,効果的な研究費の使用が可能にあると考えている。
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