研究概要 |
近年,省エネルギー・省資源対策などから,モータへの高効率化・高出力化の要望が年々高まっている。その解決策の一つがモータの高速化であり,モータを高速化する際に必要となるのが,組立性が良い小型の磁気軸受の開発である。そこで,研究代表者は,円筒形回転子を備えることで組立性を大きく向上し,そして,半径方向の2軸と軸方向の1軸をそれぞれ支持する2種類の磁気軸受を一体化することで大幅な小型化を実現する「円筒形回転子を備えた3軸能動制御型磁気軸受」を新たに提案している。そこで,本研究の目的は,提案する磁気軸受の試作機を実際に製作し,その有効性を実験により検証することである。 平成23年度は,新たに提案する円筒形回転子を備えた3軸能動制御型磁気軸受とベアリングレスモータを組み合わせることで,2ユニット構成で5軸能動制御による完全非接触支持を実現できる試作機を設計・製作した。そして,製作した試作機を用いて,半径方向・軸方向の荷重試験を実施し,提案する磁気軸受が,(1)回転子主軸の総重量に対して,実用に耐えられるだけの十分な軸支持力を発生できる,(2)半径方向と軸方向の軸支持力の間に干渉が発生せず,独立して制御可能である,という優れた軸支持特性を備えていることを検証した。 平成24年度は,前年度に測定した軸支持特性に基づいて,高速回転に対応可能な専用の高性能ドライブシステムを製作した。そして,製作した試作機と組み合わせることで,10,000 r/min以上の高速回転での安定な軸支持運転を実現した。具体的には,まず,提案する磁気軸受の3軸軸支持制御を担当するシステム1と,ベアリングレスモータの電動機速度制御と2軸軸支持制御を担当するシステム2の計2つからなるコントロールシステムを構築した。なお、これらの研究を通じて得た研究成果を学会などで報告すると同時に,これら発表する予定である。
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