今後の研究の推進方策 |
平成24年度以降は提案する電力増幅器を2種類のアプリケーション向けに設計する。前年度確立した理論および導出した設計曲線を用いて設計を進めることができる。本フェーズは、構築した理論の妥当性、有効性を例証する側面も持つ。さらに, アプリケーションに応じて注入電流に異なる付加価値を持たせることを提案する。本フェーズでは増幅器が各アプリケーションに与えるインパクトを明らかにすることが主目的であり、課題の設計仕様は現有の実験装置のスペックを考慮したものとなっている。具体的には1.100 MHz, 30 dBm(1W) 出力の次世代通信用増幅器の開発、2.30 MHz, 1kW出力のRF電源回路の開発の開発を行う。 通信用増幅器では、EERと呼ばれる線形化技術を適用することにより、広帯域な線形増幅器を開発する。ここで, 提案する増幅器において 注入電流の最適化により出力フィルタの共振周波数を搬送波周波数と同一にすることを提案する。これが実現されると、E級増幅器などで問題となっているEER適用時のスプリアス発生を防ぐことができる。これは、スプリアス除去のための回路が不必要となることを意味し、結果的にシステム規模の縮小化につながる。 さらに、RF電源アプリケーションを意識した高出力増幅器の設計を行う. RF電源回路は半導体製造装置や、MRIなどの医療機器に用いられ、数メガヘルツから数百メガヘルツの高周波電力を発生させるための装置である。高出力電力が設計仕様の特徴であり、インタリーブ技術やプッシュプル技術など高出力化のための回路構成を提案する。さらに, 注入電流に高出力化のための役割を持たせる。ここで, 前年度の結果を用いながら化合物デバイスと開発するスイッチング技術を組み合わせることにより、革新的な電力変換効率を達成できる可能性がある。
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