研究概要 |
電気自動車に対して, ユーザからの充電要求と電力システムの需給状況を勘案しながら充電サービスを実施するとともに, 停車時に分散型蓄電池としてスマートグリッドの需給制御へ貢献させる, スマート充電・充放電技術に関する研究を行った。多数台の自動車の走行パターンを模擬することを特徴とした, 電力システムの周波数制御シミュレーションを実施し, 電気自動車バッテリの高速応答性に特化したPrimary Reserveとしての自律分散型制御手法と, 電力システムのコントロールセンターからの充放電指令を受けるSecondary Reserveとしての協調型制御手法を設計した。また, 地域的な電力潮流の管理を行いながら, 電気自動車の分散型蓄電池を集約した一つのクラウドストレージとしての運用を可能とする, ユーザからの充電要求に応じたスマート充電と電気自動車間の電力授受でオフセットさせるVehicle-to-Vehicle, そして電力システムとの電力のやり取りであるVehicle-to-Gridを組み合わせた統合制御手法を提案した。 充放電対応パワーコンデョショナ, 急速充電口を搭載した電気自動車実車相当の実験装置, そして電気自動車/充電インフラ/電力システム間での通信制御を想定したスマートインターフェースから構成される実験システムを構築し, スマート充電・充放電に関する各制御手法の実装の準備を整えた。なお, 電力システムシミュレーションをリアルタイムで実行し, 電気自動車/充電インフラの実験システムと連成させた試験が可能な構成としており, H24年度には総合シミュレーション・総合試験が期待できる状況である。電気自動車と充電インフラの通信・制御には, 実験の安全性や電気自動車との情報のやり取りの観点からCHAdeMOプロトコルを採用している。
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今後の研究の推進方策 |
スマート充電・充放電制御手法については, 再生可能エネルギーの導入や電力システムの需給や潮流のボトルネックの想定など, シミュレーションの詳細条件の追加・改善を重ねながら, 国内外への成果発表を行う。電気自動車からのVehicle-to-Gridに関しては, 電気自動車やスマートグリッドの分野での国際標準化の中心技術のひとつに挙げられているので, CHAdeMOプロトコルの採用や電力システムの需給制御への貢献についてのユースケースの研究成果を活用して, 情報交換や海外規格との比較検討も実施する。
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