研究課題
本研究の目的は、次世代高温超伝導線材の電力機器応用へのキーテクノロジーとなる高速・高分解能・非破壊の標準的評価システムの開発である。電流容量と交流損失の観点から極めて高いポテンシャルを有する本線材に残された課題は、超伝導特性の均一性(例えば分解能1 mm以下)を工業生産レベルの長さ(例えば1 km)にわたって確保することであり、非破壊かつ高分解能の評価手法の開発が急務となっている。本研究では、申請者等が短い線材を用いて既に原理検証を終えている外部磁界印加型走査型ホール素子顕微法を発展させ、長さ100 mの線材に対して解像度1 mmで非破壊に局所臨界電流密度分布のイメージングが可能となるシステムの構築を目指している。前年度は、比較的短い固定した線材を対象として、評価速度の高速化に取り組み、長尺線材の評価に耐え得る評価速度を達成した。そこで今年度は、前年度で開発した高速評価機構をリール式線材搬送機構に導入し、長手方向に移動する長尺線材に対して連続的に計測を行うことで、本研究の目的とする長尺線材の高速・高分解能・非破壊評価を達成した。具体的には以下の項目を達成した。・線材長:200 m・線材幅方向の解像度:0.5 mm・線材長手方向の解像度:0.9 mm以上のとおり、線材長と解像度は当初の目標を上回っており、想定以上の成果が得られた。本成果は研究コミュニティーから非常に高く評価され、当研究分野最大の国際会議で招待講演を行うなどのインパクトがあった。本研究により開発した評価システムは、次世代高温超伝導線材の電力機器応用に不可欠な品質管理手法として重要な役割を果たしていくと期待される。
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すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (7件) (うち招待講演 2件)
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