研究課題/領域番号 |
23760266
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研究機関 | 大分大学 |
研究代表者 |
甲斐 祐一郎 大分大学, 工学部, 客員研究員 (50595436)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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キーワード | 磁気ひずみ / 応力 / 電磁鋼板 |
研究概要 |
電気機器の鉄心材料として,電磁鋼板が使用されており,高効率・高出力化な機器を開発するためには,その有効活用技術が必要となる。特に,電磁鋼板の磁気特性は応力に対して影響を受けやすく,外部応力や残留応力によって磁気特性が劣化することが知られている。本研究では,応力を積極的に利用することによって,電磁鋼板のベクトル磁気特性のコントロールを目指している。そこで,応力とベクトル磁気特性の因果関係について解明するために,応力下における磁気ひずみ評価システムを開発し,そのデータベースの構築を目指す。本年度は,応力下の磁気ひずみを測定するための評価システムの開発を行った。 まず,実際の機器内の応力や励磁状態での磁気ひずみを評価するためには,任意方向の応力や磁気ひずみを測定する必要がある。従来のひずみゲージは,機械ひずみと磁気ひずみの両方を測定することができなかったが,今回作製したゲージを用いることで,任意方向の応力と磁気ひずみを同時に評価することが可能となった。また,電磁鋼板に生じる磁気ひずみを高精度に測定するため,ロックインアンプを用いた磁気ひずみ評価システムを開発した。さらに,本システムを用いて得られる磁気ひずみの測定精度の検証やシステムの有用性を示した。 以上の研究によって,応力下における磁気ひずみ測定できる環境が整ったため,今後は,応力下における各種電磁鋼板の磁気ひずみとベクトル磁気特性のデータベースの構築を図る。さらに,これらのデータベースを元に,応力・磁気ひずみ効果について詳細な分析を行うことで,電磁鋼板のベクトル磁気特性制御技術に関する知見を得ることができると考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度の研究目的は,応力下における磁気ひずみのデータベースを構築するために,その評価システムを開発することであった。そこで,六軸ひずみゲージを新たに作製し,応力と磁気ひずみの両方を同時に測定することが可能となった。さらに,磁気ひずみを高精度に測定するために,ロックインアンプを用いた磁気ひずみ測定システムを開発し,その測定精度の検証を終え,システムの有用性を示すことができた。さらに,今年度開発したひずみゲージ並びに評価システムを既存のシステムに組み込むことによって,応力下における電磁鋼板の磁気ひずみが測定可能となり,これらの研究成果を国内・国際学会で発表した。 以上の理由より,本研究は順調に進展しているものと考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究方針として,今年度開発した六軸のひずみゲージ及び評価システムを用いて,応力下における磁気ひずみ及びベクトル磁気特性のデータベースの構築を目指す。そこで,様々な電磁鋼板の応力下における磁気ひずみとベクトル磁気特性を測定し,応力とベクトル磁気特性の因果関係を明らかにする。さらに,得られた知見をもとに応力・磁気ひずみ効果を利用したベクトル磁気特性の制御法について検討する。 本研究は,国内及び世界的に見ても,これまで応力下における任意方向の磁気ひずみの測定はされておらず,学術的に新規性は非常に高いと考えられる。そこで,国内及び国外で開催される学会に積極的に参加し,研究成果の報告及び最新の研究に関する情報収集を行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度では,応力下における各種電磁鋼板の磁気ひずみ及びベクトル磁気特性のデータベースを構築するため,測定に必要な材料加工費及びシステムの消耗部品費用として研究費を使用する。 また,これらまで得られた研究成果を国内及び国際学会にて報告を行うため研究費を使用する。出席予定の学会は下記の通りである。 国内の発表:マグネティックス研究会(12月予定) 国際学会:1&2D magnetic measurement and testing(9月,オーストリア)
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