研究課題
今年度の研究目的は,平成23年度に開発したロックインアンプを用いた磁気ひずみ測定法と六軸ひずみゲージを用いて,応力印加時における交番及回転磁束下の無方向性電磁鋼板のベクトル磁気特性と磁気ひずみを測定し,データベースを作成することであった。本研究成果として,一軸及び二軸引張・圧縮応力印加時におけるベクトル磁気特性と二次元磁気ひずみを測定することが可能となり,応力に対して磁界強度ベクトルの大きさと方向が異なることを明らかにした。さらに,二次元磁気ひずみから得られた磁気ひずみの伸びと縮みの大きさと方向も異なることも明らかにした。さらに,これらのデータベースを詳細に分析し,一軸方向の引張応力と平行に磁束密度ベクトルを向けた場合,交番磁束下の磁気損失と磁気ひずみの値は減少した。しかしながら,一軸方向の引張応力に対して回転磁束下の磁気損失と磁気ひずみは増加した。そこで,二軸方向から面内に引張応力を印加し回転磁束下の磁気損失と磁気ひずみを測定した結果,これらの値が減少する最適な応力条件があることを明らかにした。一般的に電気機器の高効率・低損失化のためには,製造工程で発生する応力を低減することが重視されていが,これらの研究成果を踏まえることによって,逆に応力を積極的に利用することでモータ鉄心の低損失・低騒音化が図れることが期待できる。今後の研究課題として,一軸引張応力や二軸応力を電気機器用鉄心に印加するための,新たな応力印加技術の開発が必要と考えられる。
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IEEE Transactions on Magnetics
巻: Vol.48, No.4 ページ: 1421-1424
電気学会論文誌A(基礎・材料・共通部門誌)
巻: Vol.132. No.11 ページ: pp.1033-1038
巻: Vol.132, No. 10 ページ: pp.930-935