研究課題/領域番号 |
23760268
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研究機関 | 大阪府立大学 |
研究代表者 |
井上 征則 大阪府立大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (50580148)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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キーワード | パワーエレクトロニクス / 回転機制御 |
研究概要 |
まず高効率運転のための最大トルク/電流制御に注目し、トルクから電機子鎖交磁束を得る手法を新しく構築した。従来では、ルックアップテーブル等を利用して事前計算で得られた特性を元に算出していたのに対し、新しい手法では、リアルタイムにトルクと磁束の関係を得ることができるようになったため、一般的なモータで考慮すべきインダクタンス変動を容易に反映できるようになった。また、様々なパラメータを持つモータについても適用可能性について検討を行い、マグネットトルクのみの永久磁石同期モータから、磁石を持たない同期リラクタンスモータに近いパラメータを持つモータにも有効であることを確認した。また、広範囲可変速運転のための弱め磁束制御と組み合わせた場合の運転特性についても検証を行った結果、シミュレーションにおいて、安定にモータ制御が可能であることを確認した。ただし、当初の計画では電機子鎖交磁束に同期した座標上でのモデル構築を予定していたが、現状ではモータ駆動システムで一般的に用いられるd-q座標上でのモータモデルを基にしており、インダクタンスの測定が従来と同様に必要である。パラメータ変動を考慮するために、d,q軸インダクタンスの詳細な特性が必要となることが課題である。電機子鎖交磁束に同期した座標上での新しいモデルは構築途中であり、制御則として利用できる形にできていない。数値計算結果やシミュレーションによる検討のみでは、従来の手法との違いが現れないことが分かり、今後実施する実機実験で得られる各種特性が必要となる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
予定していた実機実験による検証が完了していない。正式に見積もりを行った結果、当初計画していた特性検証に適した実験装置一式を導入できなくなったこともあり、既存装置の仕様変更で対応することにした。そのため、代替装置の選定に時間がかかり、実験機材の導入が遅れる結果になった。また、電機子鎖交磁束に同期した座標上での制御則構築が完了していない。磁気飽和による影響を考慮するため、数値計算だけでなく、実機実験による特性解析が必要となることが明らかになってきたため、新しいモデルの構築は実験環境整備後の課題となった。
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今後の研究の推進方策 |
当初の計画ではシミュレーションによる有効性確認後、実機実験という流れを予定していたが、新しい制御則構築のための基礎検討に実機実験結果を基にした詳細な特性が必要となったため、数値計算やシミュレーションを一時休止し、実機実験による特性考察とモデル構築を優先する方向に変更する。研究計画は若干遅れているものの、実機実験の実施順序以外については問題がないため、当初の計画に基づいて研究を進める。
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次年度の研究費の使用計画 |
今年度導入できなかった汎用ACサーボモータについて、早急に仕様を決定し手配する予定である。また、研究の遅れから研究成果の発表も十分に行うことができなかったため、成果が得られ次第、発表予定である。
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