研究課題
昨年度までに開発した一元的な磁気特性評価に基づく磁気エネルギーを用いた二次元磁気特性モデル化手法において，今年度は鉄損曲線のモデリングにまで拡張し，IPMモータの鉄損算定を例題として実機解析における有用性を明らかにした．また，数学モデルに基づくヒステリシスモデリングを用いて電磁鋼板1枚を対象とした有限要素解析を実施し，さまざまな高調波を含む励磁条件下での測定結果との比較により，広範な周波数範囲で使用可能な渦電流損・ヒステリシス損の推定法を検討した．本手法は電気機器の有限要素解析における鉄損推定のための後処理としてそのまま活用することができ，また容易に並列化できるため，計算コスト・計算精度の観点から実用的な後処理鉄損評価法だと考えられる．研究期間全体を通し，渦電流損の高精度評価を目的として時間領域並列化有限要素法の実用性向上を図り，永久磁石モータやかご形誘導機といった各種電気機器のPWM励磁下での損失計算について，従来法と比較して大幅な高速化を達成した．一方，ヒステリシス損の高精度評価に対しては，計算コストの観点で実用的なマクロモデルに基づく磁気ヒステリシスおよび磁気異方性モデル化手法の検討・開発を行った．その結果，モデル同定に必要な磁気特性測定も比較的容易であり，また実用的な計算コストで従来法と比べて高精度な鉄損推定が可能であることを明らかにした．高計算環境を最大限に活用した渦電流損およびヒステリシス損の評価技術の確立という目的に対し，非常に有意義な結果が得られており，本研究成果により機器の高効率化・機器開発時間の短縮化が達成され，高性能・高信頼度の電気機器開発に貢献できるものと考えている．
すべて 2014 2013
すべて 雑誌論文 (10件) (うち査読あり 10件) 学会発表 (19件)
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