研究課題/領域番号 |
23760274
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研究機関 | 神戸市立工業高等専門学校 |
研究代表者 |
山本 和男 神戸市立工業高等専門学校, 電気工学科, 准教授 (50332052)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 風力発電システム / 雷対策 / 数値電磁界解析 / 可搬式インパルスジェネレータ |
研究概要 |
北陸地方から東北地方にかけての冬季の雷は,世界的にも規模が大きいことで有名である。実際に,平均的な夏季の雷に比べて数十倍から数百倍の規模の雷が,同一の風力発電システムに1年間に数回落雷したことが観測されている。規模の大きな冬季の雷が風力発電システムに落ちた場合,まず壊れてもっとも金銭的被害が大きい部分は,修理費用に数千万円が必要となるブレード(羽)である。そのため,ブレードの被害を最小限に抑えるための研究はいくつか行われてきた。しかし,電力変換器等の電力機器や発電機を制御するための制御機器等の被害も無視できない。例えば,電力変換機器などが壊れた場合,数百万円の修理費用が必要となる場合もある。このような被害が多数起きている風力発電システムが多いにもかかわらず,電力・通信・制御機器の設置位置・方法の多様性から,雷被害の発生様相は未だ明らかとなっていない。特に,風力発電システムを運営する団体はその他の発電設備(原子力や火力など)を運営する電力会社と異なり,自治体や小規模な運営・管理団体(会社)によるものが多い。そのため検討・対策へ費やすことのできる人材や費用が不足しており,対策方法は未だ確立されていない。 平成23年度には,実験現場で必要となる可搬式のインパルスジェネレータを製作した。安全性を重視したものを製作したかったため,設計を私自身が行い,製作を高電圧関係を専門とする企業に依頼した。また,この種の雷対策の解析を行う数値電磁界解析プログラムを用いて複数の解析モデルを完成させた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
平成23年度に可搬式のインパルスジェネレータを製作,次年度以降の準備として,実機風力発電システムの数値電磁界解析の準備を行う予定であった。さらに,平成24年度はすでに実験が了承されている風力発電システムで実験を行い,数値電磁界解析を用いてその過電圧発生様相を解明する予定である。平成25年度では,すでに実験が了承されているその他の風力発電システム2基を用い,実験を行い,数値電磁界解析を用いてその過電圧発生様相を解明する。それらの結果から,その後建設が予定されている風力発電設備の設備設計に上記結果を応用する予定である。 3カ年で上記の様なスケジュールを予定しているが,平成23年度に達成すべき内容はすべて完了し,解析の準備に関しては1ケースではなく,複数のモデルを解析し,実験結果の検証準備を行った。詳細は以下のとおりである。 最近では低周波騒音の問題から人里離れた場所に建設されることが多くなっている。そのような場所で実機実験を行うためには市販されているようなインパルスジェネレータでは大きすぎ,容易に実験を行うことができない。そこで,可搬式のインパルスジェネレータを製作した。高圧・大容量のコンデンサに電荷を蓄積し,それをギャップスイッチで放電する機構となる。可搬式のインパルスジェネレータではコンデンサバンクと起動部に分け,持ち運びしやすくしている。充電電圧は約40 kVとなり,あまり,コンパクトに収めようとすると,特別な絶縁材料が必要となりコストが大きくなる。本研究では,全体の体積と重量を二分して持ち運びしやすいようにした。 また,数値電磁界解析の一種であるFDTD法を用いた解析ソフトウェアはもうすでに完成していたが,風力発電システムのモデルを作成し,解析の準備をした。実機風力発電システムの図面から,解析モデルを構築し,複数のモデルにおいて過電圧等の計算行った。
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今後の研究の推進方策 |
平成23年度は予定以上のスケジュールで研究を進めることができた。よって,今後は当初の予定通り研究を進めることができそうである。 平成24年度はすでに実験が了承されている風力発電システムで実験を行い,数値電磁界解析を用いてその過電圧発生様相を解明する。平成25年度では,すでに実験が了承されているその他の風力発電システム2基(初回の実験場所とは大地の抵抗率が大きく異なる設備)を用い,実験を行い,数値電磁界解析を用いてその過電圧発生様相を解明する。それらの結果から,その後建設が予定されている風力発電設備の設備設計に上記結果を応用する。
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次年度の研究費の使用計画 |
当初の予定より予算が減額されているため,実験等消耗品:150000,調査研究旅費:300000,研究補助:150000での研究費の仕様を計画している。実験棟消耗品は,実験に必要な電線や各種抵抗器等の消耗品のことである。調査研究旅費は主に,実験場までの往復の旅費,研究成果の発表に関する旅費のことである。研究補助は主に実験補助を目的とした研究補助を考えている。
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