研究課題
本研究は、超短波パルス光及び近接場光を用いた時空間分光計測技術を用いて、 ZnO系単一量子井戸内の励起子と、ナノスケールサイズの金属ナノ構造近傍に共鳴誘起される局在表面プラズモンとの動的共鳴現象に関する諸特性の解明を目指した。近年、局在表面プラズモンを応用したナノ光デバイスは、之までの光半導体工学を凌駕する光技術の創製に寄与する。特に、光励起下で量子井戸内に生成される電子・正孔対(励起子)と表面プラズモンとの動的相関科学は、高機能な発光・受光素子、光電変換及び光アンテナ技術の開発に向けて重要な基盤技術に相当する。本研究において、量子井戸内の光生成された励起子が、局在表面プラズモンとの間で起きる動的共鳴現象を示す研究結果を得た。量子井戸内の励起子発光の時間分解分光(TRPL)から、量子井戸から金属へのエネルギー移動が観測された。この光学現象は、量子井戸内の電子・正孔対の再結合過程が、金属ナノ粒子の存在に強く影響されている。半導体層(量子井戸)から金属層へのエネルギー伝達に必要な時定数は、約1.2 ns-1である。半導体(励起子)と金属(プラズモン)の光相互作用が可能な空間距離は、約40nmであった。故に、金属・半導体ヘテロ構造におけるプラズモン・励起子間の光結合の存在を明らかにした。
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