研究課題/領域番号 |
23760279
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
清水 英彦 新潟大学, 自然科学系, 准教授 (00313502)
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キーワード | 調光ミラー / Mg系薄膜 |
研究概要 |
反射型クロミック特性(調光ミラー特性)を示す材料の中でも,Mg系薄膜は,水素化すると最も高い可視光透過率を有することから,本研究室では,Mg系薄膜に注目し,検討を行ってきた。その結果,薄膜内部の水素吸蔵合金として知られるMg2NiやMg2Cuが,Mgを室温にて水素化又は脱水素化するための触媒として作用することを明らかにしている。しかし,水素吸蔵合金であるMgZn2合金の検討を行った結果,Mg-Zn薄膜において調光ミラー特性を得ることができなかった。これは,水素と結合しない合金は,触媒として機能しないことを示唆していると考えられた。そこで本研究では,Mgを水素化,脱水素化するための触媒となる添加材料を探索するため,水素化時の添加材料の吸熱・排熱に注目し,Niと同様に,水素化時に吸熱反応を示すFeを添加材料として用い,Mg-Fe薄膜の検討を行った。その結果,Mg-Fe薄膜は,水素化時に,約400nmより短波長側にて,透過率が上昇する傾向を示し,可視光透過率が,最大で約20%を示した。このことから,FeはMgを水素化するための触媒として作用していると考えられた。従って,水素化時に吸熱反応を示す材料は, Mgを水素化するための触媒として作用すると考えられる結果を得られた。 一方,Mg系薄膜/Pd超薄膜/有機材料薄膜の構造の新規の調光ミラーエレクトロクロミックデバイス作製のため,水素原子やイオンを貯蔵することが可能な有機材料薄膜を作製する準備を行った。具体的には,るつぼ型真空蒸着装置の整備及び有機材料の選定,選定した有機材料の特性調査を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
前年度7月頃,体調を崩し,数ヶ月,実験等を行うことができなかった。そのため,Mg系薄膜/Pd超薄膜/有機材料薄膜の試作を行うところまでできなかった。
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今後の研究の推進方策 |
前年度の教訓を生かし,現在は体調が万全である。また,前年度に有機材料の入手,るつぼ型真空蒸着装置の整備を終了しているため,今年度前半にMg系薄膜/Pd超薄膜/有機材料薄膜の構造のエレクトロクロミックデバイスの試作及び検討を行う予定である。また,今年度後半には,表示デバイスの試作を行う予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
投稿論文を記載する予定であったが,体調不良により,記載することができなかった。また,予想していた実験回数を行えなかったことから,消耗品等に必要な金額が少なかった。 実験に必要な,薄膜材料や基板,ガス,薬品等の消耗品の購入を行う。windows XPのサポート終了に伴い,測定機器のソフトウエアのアップデートが必要なため,ソフトウエアのアップデート費用に使用する。実験効率を良くするため,必要な真空備品の購入を行う。また,投稿論文や旅費に使用する予定である。
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