研究概要 |
Eu添加窒化物半導体は電流注入により希土類イオンを励起できるため、希土類イオンの有する超狭線幅や発光波長の温度安定性を有する新たな概念のデバイスの実現が期待できる。しかしながら,結晶中に取り込まれたすべてのEuイオンが発光に寄与するわけではないため,発光効率の低下を引き起こす.これはEuイオンが取り込まれた際にEuイオン周囲の結晶構造が母体材料からのエネルギー輸送効率や発光効率に大きく影響を及ぼすためである.本研究では,Mg共添加技術を見出し,Eu周囲の局所構造を制御し発光効率の向上を実現した.Eu, Mg共添加GaN をPL評価したところ,^5D_0-^7F_2遷移に対応した3つの発光ピークを観測した.Mg増大に伴い発光ピークは622.3nmから620.3nmへとシフトし,最適なMg濃度において発光強度はMg無添加の試料に比べ20倍の強度が得られた.また最適化された試料においてPL温度特性から見積もられた発光効率は77%であった.これらの結果からMg共添加は選択的に発光サイトを制御し,5D0準位からの非発光成分を抑制する効果があることが示唆された.
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