研究課題
本研究は、酸窒化物半導体を用いて室温動作可能なエキシトニックトランジスタを創成することを目的としている。平成23年度は,主に高効率エキシトン流生成のためのデバイス構造の検討を行い,従来トレードオフの関係にあった“高いエキシトン束縛エネルギー”と“低いエキシトン再結合確率”を両立させる構造として、ZnInONを用いたピエゾ電界誘起型量子構造を考案した.高いエキシトン束縛エネルギーを有するZnOをベースにした新材料ZnInONを用いる事により,高温でも電子と正孔の束縛は解けることなくエキシトンとして存在できる. またデバイスシミュレータを用いた計算により,ピエゾ電界誘起型量子井戸(井戸層:ZnInON、障壁層:ZnO)中のエキシトン再結合レートは、従来構造に比べ約3桁低くなることを明らかにした。これは,量子井戸内に発生した強い内部電界によって,電子―ホールの波動関数の空間的重なりが小さくなるためである。以上の結果は、本提案のデバイス構造により室温でのエキシトン流の高効率生成が可能となることを示している.平成24年度は,ピエゾ電界制御のための新材料ZnInONの高品質成長を行った.本デバイス構造において,ピエゾ電界はZnInON内に生じる結晶歪みにより発生する.具体的にはZnInON井戸層がZnO障壁層に対しコヒーレントに成長した際にピエゾ電界が発生する。この時,結晶欠陥により歪みエネルギーが緩和されるため,結晶成長時においていかに欠陥発生を抑制するかが重要となる.本研究では我々が独自に開発した結晶核制御技術を用いることで,世界で初めて原子平坦面を有するZnInON膜の成長に成功した.またこれにより ZnO上へのZnInON膜のコヒーレント成長を実現させた.今後は,エキシトン寿命に対するピエゾ電界の効果を明らかにするとともに,エキシトン流の高効率生成を試みる.
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Japanese Journal of Applied Physics
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http://hyoka.ofc.kyushu-u.ac.jp/search/details/K003622/