【半導体センサ作成】500 [ps]の半値幅を持つパルス圧力波を発生可能な専用計測装置を設計・開発し、昨年度までに設計・製造した素子に対しパルス圧力波を入力し、出力信号の検出試験を実施した。測定装置の構成は以下の通りで、信号の発生・検出順に示している。①:パルス電圧発生器、②:圧力波発生装置、③:測定試料台(開発素子)、④:信号増幅器、⑤:広帯域オシロスコープ。その結果、昨年度の試作と同様の5mVの信号を確認することができ、さらに本開発装置により耐ノイズ性能が向上し、S/N比の向上も確認できた。時間幅に関してはpsオーダーの波形検出が期待されていたが、nsオーダーの時間幅の検出に留まり、今後の課題が確認された。以上の結果を踏まえ、センサ形成前のSi基板(ボロンドープ、厚さ700 [um])に直流電圧とパルスを印加し、空乏層の形成や直流電圧による電極-Si基板界面に発生する誘導電荷の形成などの電気基本特性の確認試験を実施した。その結果、700 [um]の材料厚さ方向に広く空乏層が分布することが確認され、且つ絶縁体試料と比較し、多量の誘導電荷の形成も確認でき、今後の半導体圧力波検出素子の検出信号の時間幅の狭小化とS/N向上への指針を得ることに成功した。 【プロトン照射材料の帯電計測】今年度までに、プロトン照射をポリイミド試料に実施し、PEA法による照射中後の材料内部の帯電分布計測とASTM法に伝導電流計測を、1.0-2.5 [MeV]、0.3-30 [nA/cm^2] 範囲の条件で実施、測定結果の再現性を取得し、以下の現象を確認した。①プロトンの飛程と帯電分布、②帯電量と照射電流密度の関係、④照射済み試料の伝導電流計測による放射線誘起伝導の発生の確認。 これらの成果は、当学術領域の権威誌の一つであるIEEE/Plasma Scienceへ現在投稿中である。
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