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2013 年度 実施状況報告書

反強磁性障壁層の挿入によるスピンフィルタ型強磁性トンネル接合の磁気抵抗比の改善

研究課題

研究課題/領域番号 23760295
研究機関宇部工業高等専門学校

研究代表者

仙波 伸也  宇部工業高等専門学校, 電気工学科, 准教授 (40342555)

キーワード分子線エピタキシー / スピントロニクス / 電子・電気材料
研究概要

フルエピタキシャルなスピンフィルタ強磁性トンネル接合におけるトンネル磁気抵抗比の改善を目的に分子線エピタキシー法を用いて各種薄膜の成長実験を進めた。InP(100)基板上への積層構造の品質向上に向けて、Te照射による基板表面の清浄化を行ってきたが、As照射による清浄化との差異を調べるため、Kセルを追加してAs照射条件下による薄膜成長実験を行った。反射高速電子線回折及び原子間力顕微鏡による表面構造の評価を行った結果、平坦性の向上が見られた。しかし、As雰囲気の残留成分による薄膜品質低下が懸念される結果となった。一方、Te照射条件に加えて、EuSの極薄膜を初期成長させることにより、引き続くGeTe(又はGe1-xMnxTe)薄膜のエピタキシャル性が改善される可能性があることが分かり、詳細を調べている。他方、BaF2(111)基板上にZB-MnTe/ Ge1-xMnxTe積層構造を作製し、良好なエピタキシャル構造であることをX線回折により確認した。磁場中冷却による異常ホール効果測定を低温にて行ったところ、ループシフトは確認できず、両磁性層間に交換バイアスが発現していない可能性があることが分かった。したがって、交換バイアスを伴わない両強磁性層(Ge1-xMnxTe、EuS)間の磁気遮断を実現できる可能性がある。なお、計画していたInP(111)基板上への作製に関しては、基板製造工程に問題が生じたため延期することとなった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

4: 遅れている

理由

分子線エピタキシー法による積層構造の作製に関しては、薄膜の成長条件をおおよそ調べることができているが、良好なエピタキシャル性をもつ積層構造は得られておらず、磁気抵抗に対する反強磁性層の挿入効果については知見が得られていない。しかし、基板清浄化や初期成長過程を工夫し、品質改善は確実に進展している。また、素子加工や輸送特性実験については研究協力者の支援のもと、準備が整っている。一方、InP基板の面方位が成長に及ぼす影響を調べるためInP(111)基板を新たに導入することとしたが、メーカーの基板製造工程に問題が生じたため、今年度に実験を進めることはできず、来年度に延期することになった。以上の理由より、「遅れている」と判断した。

今後の研究の推進方策

InP基板上におけるEuS極薄膜の初期成長に続く強磁性Ge1-xMnxTeのエピタキシャル性の改善について検討し、積層構造:Ge1-xMnxTe/ZB-MnTe/EuS/GeTeの実現に注力する。ここでは、InP(111)基板も導入し、面方位の影響についても調査する。素子加工については、山口大学ナノテクノロジープラットフォーム支援を活用して実施する。復旧した冷凍機を駆使し、磁気輸送特性及び磁気光学特性評価実験を推進し、反強磁性層挿入効果について検討する。

次年度の研究費の使用計画

積層膜の品質改善を目指し、InP基板の面方位を再検討し、異なる面方位での作製を試みることにしたが、特殊性のある半導体基板の納品に時間を要し、必要な基板枚数を確保できなかった。そのため十分な解析を行えるデータの蓄積ができず、学会への参加も見送ったため未使用額が生じた。
半導体基板の追加購入及び素子加工における機器使用料、また薬品や理化学消耗品の購入に使用する。加えて、学会参加のための旅費に使用する予定である。

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公開日: 2015-05-28  

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