研究概要 |
本研究の目的は,中空光ファイバをコヒーレントにバンドル化した中空イメージガイドを開発し,十分な解像度を有するリモートラマン分光イメージング装置を実現するための指導原理を確立することである.目的の達成に向け本年度は以下の研究を行った. 1.中空イメージガイドの画像伝送特性評価 昨年度までに,中空イメージガイドのプロトタイプを製作し,帯域可変光学フィルタを用いた高速ラマンイメージングシステムを構築した.測定の高速化が実現することにより,画像伝送特性の評価が可能となった.評価の結果,実視野170 umにおいて, 横方向分解能12 um, 被写界深度240 umであり,比較的深い被写界深度を有することが明らかとなった.画素数は製作上250 pix程度が限界であり,今後さらなる高解像度化のためにはイメージガイドの構造および製作法の改良が必要である.上記の評価結果を鑑みると,提案するイメージガイドの応用範囲は凹凸のある表面の組成を狭い視野で観察するものに限定される.例えば関節軟骨再生における術後評価の一環として使用可能かもしれない.この場合も,関節鏡による高精細光学画像に重ねて表示するなどの工夫が必要であろう. 2.生体組織の高速ラマンイメージング 構築した測定系を用いて豚肉の赤身と脂質の境界のラマンイメージを測定した.脂質由来のラマンバンド1437 cm-1の散乱光強度を指標としてイメージを構築したところ,境界を明確に区別できることを確認した.ここで測定条件は,励起光強度48 mW,励起時間10秒,積算回数2回であった.本実験により現実的な測定時間で生体組織のラマンイメージが取得可能であることが明らかとなった.
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