本研究は,機械的駆動部を必要とせず,電圧のみにより焦点距離を可変することができる液晶レンズを用いて,3次元形状の測定対象物に対して連続的に全焦点画像を得るための3次元顕微鏡システムを開発することである。本提案する液晶レンズを用いた3次元顕微鏡システムを構成する上で,液晶レンズにおける焦点距離制御,リアルタイムでの立体構造の全焦点画像解析法の確立を目標としている。 研究実施期間で,液晶レンズの構造パラメータを見直し,低電圧駆動が可能となった。この低電圧駆動型液晶レンズを用い,各焦点画像から局所統計量フィルタ処理による被写体表面の特徴抽出を行うことが可能となった。さらに、近赤外線波長領域を用いたCCDカメラシステムを新たに構築し,各焦点での画像を撮影し,局所統計量フィルタ処理による被写体表面の特徴抽出を求めることができた。波長が780nm及び850nmのどちらの場合においても合焦位置分布及び全合焦画像が得られた。合焦点位置を求める際,波長850nmでの各焦点画像のS/N比が減少するため,合焦位置分布において合焦点位置検出の乱れと全合焦点画像でのコントラスト低下が見られた。局所分散フィルタ処理では注目画素領域の高コントラスト部分を合焦点位置としているため,コントラストが低下した画像を用いてフィルタ処理する場合,検出精度が低下するものと考えられる。 本年度は研究の最終年度であり,全体計画における各々の課題目標の位置付けを明確にし,問題点等の抽出を行い,実用化に向けた総合的な考察を行った。
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